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2008年06月03日(火) 10時53分

グッドウィル幹部4人を逮捕 職業安定法違反ほう助の疑い産経新聞

 人材派遣大手「グッドウィル」(GW、東京)をめぐる二重派遣事件で、警視庁保安課は3日、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)幇助(ほうじょ)の疑いで、GWの企画管理部事業戦略課長、上村泰輔容疑者(37)=東京都新宿区=と、新宿第5オフィス責任者、野上敏弘容疑者(35)=江東区=ら計3人を逮捕した。また、職業安定法違反(同)の疑いで労働者の派遣先だった運送関連会社「東和リース」元取締役、江川隆一容疑者(47)=板橋区=を逮捕した。

 上村容疑者と江川容疑者は容疑を大筋で認めているが、野上容疑者は「二重派遣の状況をくわしく知らなかった」などと話して容疑を否認している。

 調べでは、上村容疑者らGWの3人は、派遣労働者が港湾労働などに二重派遣されると知りながら、平成18年5月から19年6月ごろまでの間、新宿第5オフィスに登録した労働者延べ27人を東和リースに派遣した疑い。また東和リースに対して、派遣労働者の指名などを記載した書面を交付しなかった疑いも持たれている。

 江川容疑者は、派遣を受けた27人を港湾運送会社=横浜市=などにさらに派遣し、東京都江東区や大田区の港湾倉庫や船内などで働かせた疑い。

 東和リースは港湾運送会社から業務の一部を受託する「請負契約」を結んでいたが、労働者を港湾会社の指揮下で働かせており、同課は「二重派遣」の状態にあったと認定した。上村容疑者は、犯行当時、北関東エリアマネジャーの職にあり、新宿第5オフィスの業務を統括していた。

 法人としてのGWと東和リースは5日に同容疑で書類送検する予定。

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 ■グッドウィル(GW)

 平成7年設立の人材派遣会社。グッドウィル・グループに商号変更後、16年に人材派遣会社のグッドウィルを子会社として分割。グッドウィル・グループは持ち株会社に移行した。グループの折口雅博元会長は設立後まもなく経営に参画し代表に就任。介護事業のコムスンとともにグループの中核をなしていた。コムスンは業績悪化で介護事業から撤退した。グッドウィルも二重派遣の指摘を受けたほか、「データ装備費名目で給与を天引きされた」として労働者が給与の返還を求める訴訟を起こすなどトラブルは絶えなかった。折口元会長は昨年12月に代表権を返上している。グループの会長職も3月に退任している。

 ■二重派遣

 派遣労働者を受け入れた企業が、別の企業に労働者を派遣し、その会社の指揮下で働かせる行為。請負契約などを装うケースが多い。雇用責任があいまいになるほか、間に入った企業の手数料が増えるなど問題点も多いが、派遣業界内に横行しているとされる。送り出し側も受け入れ側も職業安定法違反に問われる。

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