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2008年06月02日(月) 03時02分

悪質業者、処分逃れて営業…2年で6200人被害読売新聞

 悪質商法による行政処分を察知した後などに、別法人を利用したり、場所を変えたりして営業を続けた業者による被害が、2006年以降で少なくとも6200人、総額12億7000万円に上ることが読売新聞の調べでわかった。

 これまで、「処分逃れ」による全国的な被害額は明らかになっていない。国や都道府県は行政処分を積極的に行っているが、被害に歯止めがかかっていないことを示しており、悪質な訪問販売などを規制している特定商取引法改正案の国会議論などにも影響を与えそうだ。

 特商法の行政処分は、高齢者らを狙った悪質な住宅リフォーム問題が05年に表面化したのをきっかけに急増。昨年度、国と31都道府県は、虚偽の説明をして高額な商品などを販売した計117社に業務停止命令などの処分を行った。

 読売新聞が全社について追跡調査したところ、少なくとも7社が過去2年以内に立ち入り検査や業務停止命令などを受けていた。

 各社は、〈1〉立ち入り検査後などに新会社設立や、別法人を利用〈2〉営業場所を処分を受けた自治体から別の自治体に移動−−する手口で営業を継続しており、06年2月〜今年1月の間、被害者は高齢者を中心に計約6210人、被害総額は約12億6900万円に及んでいた。7社以外にも、「処分後に悪質商法を続けた業者は多い」(経済産業省幹部)といい、被害はさらに膨らむ可能性が高い。

 被害額が最も多いのは、健康器具訪問販売の「トーショウ」のケース。経産省によると、都が07年9月に前身の会社を立ち入り検査した後、処分を察知した社員がトーショウを設立したという。経産省は「約20人が営業を続けており、悪質だ」として、今年3月、1年間の業務停止を命じた。

 同じく健康器具訪問販売の「エス・ケイ・ティ」の場合、06年12月に静岡県が業務改善指示処分をした後、北海道、東京と次々に拠点を移して営業を続け、都が07年9月、1年間の業務停止処分を行った。

 経産省は「処分逃れによる被害状況は把握していない。現行法では個人に行政処分することはできず、法人への早期の指導や処分で臨むしかない」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080601-00000043-yom-soci