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2008年06月02日(月) 22時00分

<婚外子国籍訴訟>親の婚姻規定争点に…4日、上告審判決毎日新聞

 結婚していない日本人父とフィリピン人母10組の間に生まれた子ども10人(8〜14歳)が、国に日本国籍の確認を求めた訴訟の上告審判決が4日、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)で言い渡される。出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法3条の規定が、憲法の定める法の下の平等に違反するかどうかが最大の争点となる。

 原告のジェイサ・アンティキエラさん(11)=神奈川県相模原市=は、歌とダンスが好きで将来の夢は芸能人。だが最近、家でふさぎこみ涙することがあった。学校から「友達に『日本人じゃない』とからかわれたり知らんぷりされ悩んでいる」と母リリベスさん(41)に連絡があった。

 リリベスさんは91年来日。飲食店で働いている際に知り合った日本人男性との間にジェイサさんが生まれた。結婚を約束したはずの男性は妊娠を知ると姿を消した。支援団体などを通じて探し出し、5年後に裁判でようやく認知を得た。

 ジェイサさんは幼いころ、パスポートを見て日本国籍でないことを知った。「友達から変な目で見られ、いろいろ考えたりする。でも自分は日本人だと思っているし、日本で生きていきたい。判決で認めて」と訴える。リリベスさんも「ジェイサはフィリピンの生活にはなじめない。自分に万が一のことが起きた時、日本国籍がないと心配だ」と話す。

 訴訟で原告側は「両親の婚姻という子どもに左右できない事情で国籍について異なる扱いをするのは不合理な差別」と主張。国側は「両親の結婚で子は日本との強い結びつきを持ち、法には合理的な根拠がある」と反論した。1審は違憲判断して全員の日本国籍を認めたが、2審は憲法判断に踏み込まずに逆転敗訴を言い渡した。

 国籍法は、未婚の外国人母の子が生後に日本人父から認知された場合、両親の結婚を条件に子が日本国籍を取得できると定める。一方で妊娠中に父が認知すれば、無条件で日本国籍を取得する。このため父親が同じなのに弟や妹が日本国籍を持っている原告もいる。【北村和巳】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080602-00000116-mai-soci