記事登録
2008年06月02日(月) 23時43分

知的障害者施設火災 火元は物置、放火の可能性 神奈川朝日新聞

 神奈川県綾瀬市で2日未明、知的障害者施設「ハイムひまわり」が全焼し、焼け跡から入所者とみられる男女3人の遺体が見つかった火災で、神奈川県警大和署は同日、この施設の1階にあった物置を出火元と特定した。階段の下のスペースを利用した、ふだんは火の気のない場所で、同署は放火の可能性もあるとみて施設の関係者から当時の状況などを詳しく聴くとともに、トラブルの有無などについても広く調べている。

 調べでは、出火元とみられる物置には、灯油とみられる油が入った複数のプラスチックのタンクやストーブのほか、食器などが置かれていた。物置は1階と2階の間の階段下にあり、出入り口は施設の外側にあった。ドアにかぎはなかったという。

 同署によると、この物置付近とその横にある食堂の周辺が特に激しく焼けており、食堂の上の2階部分が1階まで焼け落ちていた。

 最初に119番通報した近所の男性は、入所者の女性3人が現場から逃れてくる様子を見たという。この男性によると、入所者らは「施設の階段の下の倉庫が燃えた」と話していたという。

 同署は、焼け跡から見つかった3人の遺体の身元確認を急ぐとともに、3日午前にも司法解剖して死因などを調べる方針。

 「ハイムひまわり」は社会福祉法人聖音会(神奈川県鎌倉市)の施設。1階には管理人室があり、ふだんは夜間当直の非常勤職員(36)が寝泊まりしていた。しかし、火災当時はこの職員が旅行に出かけたため、施設内は入所者だけだったという。

 同施設では、入所者を対象に年2回、地震や火事を想定した避難訓練が行われていたが、スプリンクラーや火災報知機などの設備はなかった。高齢者や障害者らが入所する施設の防火基準は07年に消防法施行令が改正され、小規模施設でも09年4月から自動火災報知設備などの設置の義務付けが決まっている。

アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0602/TKY200806020266.html