記事登録
2008年06月02日(月) 22時01分

新車販売、5月は大幅減 暫定税率復活・燃料高響く朝日新聞

 国内の自動車販売台数の落ち込みが止まらない。5月の新車販売は前年同月比プラスだった4月から一転、再びマイナスになった。業界では、ガソリン暫定税率の復活に加え、ガソリン高騰も影響したとみており、販売不振に拍車をかける可能性がある。

 「大型連休明けから、お客の反応が急激に悪くなっている。暫定税率(の復活)とガソリン高が心理的に影響しているのかなと思う」。日産自動車の志賀俊之・最高執行責任者(COO)は2日の新車発表会でこう漏らした。

 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がこの日発表した5月の新車販売台数(軽自動車を含む)は、前年同月比4.8%減の36万524台。同3.1%増だった4月から、2カ月ぶりのマイナスになった。4月は暫定税率の期限切れで自動車取得税が下がり、高級車を中心に駆け込み需要があったとみられる。

 軽を除く5月の実績は前年同月比6.1%減の22万1千台。5月としては統計が残る1968年以来、3番目に少なく、ピークの90年5月(約44万台)の約半分だ。軽は同2.8%減だった。

 軽も含めた新車販売台数は06年4月〜07年12月まで前年割れが続いていた。今年1月にプラス1.4%と22カ月ぶりに増加に転じ、「販売減少に歯止めがかかった」との期待もあったが、2、3月は再び前年割れに陥った。

 今月1日から首都圏のガソリンスタンドなどで、レギュラーガソリンの価格が1リットル=170円台に突入している。日本自動車工業会は08年度の新車販売台数を前年度比0.6%減の530万台と予測するが、減少幅はより大きくなる可能性がある。

 消費者も燃費に敏感になっており、販売台数の上位は軽など小型の低燃費車が名を連ねる。トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」は4月の販売台数は前年同月比4割増しだった。売れる車は燃費がカギになり始めている。

 これまでは新車販売台数は減っても、ユーザーが1台の車をより長く乗っているため、国内の自動車保有台数は増え続けていた。だが、昨年末時点の国内の四輪車の保有台数は7571万台と、前年末より0.2%減った。「減少したのは少なくともここ20年では初」(自動車検査登録情報協会)という。

 業界内には「ガソリン高によって低燃費車への買い替えが進む」との需要を期待する声も少なくない。ただ、若者を中心に車離れの動きは拡大しており、楽観できない状況だ。(堀口元、鈴木暁子)

アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/business/update/0602/TKY200806020248.html