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2008年06月02日(月) 10時23分

他人事と捉えず、自分事として考える「鬱」オーマイニュース

 「やる気がない」「無気力」「めんどくさい」「何もしたくない」「外も出たくない」「喋りたくない」「もうどうでもいいよ」………。

 否定的な言葉が続く連鎖の先に、一つ行きつく場所がある。「鬱(うつ)」──。

 ◇

 現代の世の中、20代〜30代の方の多くがこの「鬱」に悩まされている。心が招くこの病は、誰の上にも降り注ぐことであり、決して他人事としてとらえることの出来ないものでもある。

 昨日まではとても元気であったのにも関わらず、突然、次の日の朝に、意気消沈してしまうことも珍しくはない。

 「ただの風邪かな?」

 と思ってその日を休むも、次の日も次の日も行動をしなくなってしまうこともある。体は特に異常がないのに、心がどうも乗ってこない。

 「無気力」──。何に対しても、行動が億劫になり、話す言葉さえも億劫になってくる。腰が重たくなり、行動範囲が狭くなってくる。口から出てくる言葉も否定的なものが多い。

 精神の疾病は、行動も言動も変えてしまうことがある。人格が180度ガラッと変わってしまうことも、「鬱」にはあり得ることである。

 では原因は一体何だろうか?

 仕事の悩みの蓄積か? 仕事のストレスか? 人間関係か? または家族が抱える悩みか? それとも金銭の問題か?

 掘り起こしてみれば、原因と言えるものは多様にあり、その一つ一つを観察してみなくては何も分からない。「これが原因です!」と言えるものがないのが、鬱の特徴である。底の見えない螺旋階段を、永遠に下りて行っているような感じである。

 では「鬱」を抱えた人には、一体どうしたらいいのだろうか? どのように接していったらいいのだろうか?

 「大丈夫だよ!」「気にするなよ!」「あまり考えるなよ!」

 一見良さそうな言葉が、一番危険な場合が多い。これらの言葉は余計に、病を加速する原因にもなりかねない。根拠のない言葉こそ、更なる引き金になるものはこの世にはない。

 下手にプラスになるようなことも、相手にとってみれば、全くに価値のないものでもある。原因と対策が今一つつかめないのも、またこの「鬱」の特徴でもある。

■ある日、突然に

 先日、突然、身内の一人が「鬱」だと知らされた。どうも、最近様子が変だと思っていたところでの一報である。

 ことを聞き、すぐさま私はかけつけた。身内のことであり、いてもたってもいられなくなったのだ。

 実際に会った時、私は開口一番にこんなことを言いそうになった。

 「誰だお前?」

 他人事のような言葉を吐きだす寸前だった。そこにいたのは、今までの身内の姿ではなかった。眼は虚ろであり、体から覇気が感じられない。背中は猫背になり、後姿に悲壮感が漂う。見るからに、“何か”を抱えた感じの人だった。

 会話をしても言葉は上の空であり、吐き出される言葉も否定的なものばかりが目立つ。こちらが何を言おうと、全てにおいて否定的な言葉で被せられてしまい、聞く耳を持たない。相手の会話に同調しても、相手は更に否定的な言葉を吐き続けてくる。

 これほどまで、会話が重たいと感じたことはなかった。そして、全く会話が成り立たなかった。2週間前のことである。

■まさか「あいつ」が

 「鬱」は、突然にやってくることがある。そしてそれは、誰の上にもやってくることがある。身内の「鬱」には、家族全員が驚いたことだった。私が出向き、両親が出向く。兄弟が出向き、友人が出向く。一様に皆、驚いた顔で帰ってくる。

 「まさか、あいつがなるなんて……」

 誰かが言った言葉がやたらと印象的だった。「あいつ」という言葉には、多くの意味が込められており、大方は「明るい性格」というものを連想させてくれる。

 誰よりも元気であり、誰よりもガッツがある、そんな存在だ。だが、そのような存在の人が「鬱」を患うとは、誰もが驚いたことであった。

■負の螺旋階段

 「鬱」は、エスカレートしてしまうと、とんでもないことになってしまうことがある。一番に危惧していることが「自殺」である。

 「死のうかな……」

 身内が放った何気ない言葉が今でも、前頭葉で響いている感がある。心を閉ざし、聞く耳を持たない状態は、周りが何一つとして見えない。自分がこう思ったことしかできなくなる。そしてそれは大抵、自分が発する「言葉」が招いてくる。

 否定的な言葉が現実になり、否定的な現実がやってくる。そしてそれは最悪のシナリオを招くことに繋がってくる。自殺や殺人、強盗と言った、悪の螺旋階段を下っていくことにも繋がってくる。

■一体どうしたら……

 突然の身内の「鬱」に私は本当に戸惑った。

 「どうしたいいのだろうか」

 一人自問自答の日々が続いたように思う。見えない答えをずっと探していた。

 「自分が出来ること」

 そして、一つの結論に達した。「他人事として捉えるのではなく、自分事として捉えた時に何をしたらいいか?」

 そして、私は行動に移した。

 ◇

 突然、「うつ病」と宣告されたらあなたならどうしますか?

(記者:花嶋 真次)

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