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2008年06月01日(日) 19時00分

フェラーリ15台にポルシェ…芦屋の豪邸主の悪あがき粉飾人生産経新聞

 1台の高級SUV車「ポルシェ・カイエン」が、静かに神戸地検(神戸市中央区)に入ってきた。

 運転していたのはコンピューターシステム開発会社「アクセス」(大阪市中央区)の創業者で元社長の村上次男容疑者(59)。一時は海外マスコミなどの特集にも「日本のIT長者」として紹介されたほどの人物だ。

 5月28日朝、堂々と出頭し、午後には同地検特別刑事部に金融商品取引法(旧証券取引法)違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いであえなく逮捕されたカリスマ経営者・村上容疑者の素顔とは。

 ■15台のフェラーリ

 日本屈指の高級住宅街が広がる芦屋市(兵庫県)の山手に、敷地面積約300坪、地上3階・地下1階建ての豪邸を構える。

 身だしなみは「高級スーツに高級時計を欠かさなかった」(元同社幹部)。

 「村上さんはいつも昼ごろ、愛車のフェラーリで出社していました」との証言もある。昼休み中の社員に見せびらかすかのようだったらしい。

 2000万円から3000万円ものフェラーリを、新型が出るたびに買い替えた。10年で約15台を購入。

 現在も自宅などには、フェラーリ4台とポルシェ2台を所有しているという。出頭したときに乗っていたカイエンも1000万円クラスの超高級車だ。

 ■絶頂から墜ちても

 村上容疑者は、京都府出身。

 コンピューター会社勤務などを経た後、昭和58年、消費者金融大手のレイク(現GEコンシューマー・ファイナンス)に入社した。

 同社で取締役まで務めた後、これまでのノウハウを生かして、金融機関向けの大型システム開発を手がける同社をたち上げた。

 元同社幹部によると、「社長になっても、『オレが営業マンだ』と言い張るだけあり、営業ではどのコンペに行っても負けることがなかった」という。

 そんな村上容疑者が「IT長者」へと昇り詰めるきっかけとなったのは、平成10年の自社株の店頭公開だった。

 折からの「ITバブル」の波に乗り、アクセス社株の約30%を保有する村上容疑者の資産は、推定600億円以上に。

 同年には約2億5000万円を納税し、大阪国税局管内で12位の高額納税者になった。

 「月刊フォーブス・日本版」の14年9月号には、「次代を担う日本の億万長者」として紹介されるなど、カリスマ社長、業界の実力者として知られた。

 そのような成功が、「おごり」につながったのだろうか。

 そんな村上容疑者の勢いにもやがてかげりが見え始める。

 顧客である大手企業とのトラブルがもとで、経営状態は14年ごろから悪化、赤字決算が続いた。

 ■悪あがきも高級?

 それでも村上容疑者はフェラーリでの出社はやめなかった。それはまるで悪あがきのようだった。

 「まっ昼間にフェラーリで出社するのはやめてくださいとお願いしたのですが、『会社の業績が悪いときでも、生き生きしないといけないんだ』と言っていました」と元同社幹部。

 その勢いのまま検察にも高級車で出頭したのは、最後の悪あがきだったのか。

 逮捕された28日、神戸地検が村上容疑者の自宅などを強制捜査した容疑は、17年3月期の決算で、部下に指示して約9億9200万円の純損失を約2億3500万円の純利益とする虚偽の有価証券報告書を提出させたという、やはり“悪あがき”の行為だった。

 一連の粉飾決算騒動を受けて29日、記者会見したアクセスの山田欣吾代表取締役は「不正の再発防止策を進めており、社内にもはや『村上色』は残っていない」と強調した。

 山田代表取締役によれば、一時は約600億円を誇った村上容疑者の株資産も、現在では18億円程度にまで目減りしているという。

 それでも18億円−。庶民には、とんでもない額ではある。

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