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2008年06月01日(日) 00時00分

ガソリン「170円台」も 高騰に嘆き節、客も店も 朝日新聞

 ガソリン価格が1日、スタンドで再び跳ね上がった。石油元売り各社による卸値の引き上げを受け、西日本など各地でもレギュラーガソリンが1リットルあたり170円台をつけた。消費者に買い控えの動きも出てくるなかで、末端の販売店は生き残りをかけた競争にさらされている。

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 奈良市法華寺町の24時間営業スタンドは1日午前0時にレギュラーを1リットルあたり160円から172円に値上げした。植田照明店長(49)は「夕方までの客の入りは普段の3割以下。人件費を減らして耐えるしかない」と恨めしそうだった。同市の会社員大村義幸さん(32)は「給油のたびに数円安くなる割引制度を使って、どうにか節約している」という。

 大阪市浪速区にあるセルフ式スタンドは1日午前6時にレギュラーを156円から169円、ハイオクを168円から181円に値上げした。客足は前日や普段の日曜よりは遠のいたが、予想よりは多かったという。同店を経営する販売会社の男性社員(22)は「先行きが見えない。(価格上昇は)そろそろ落ち着いてほしい」。

 給油していた大阪市中央区の男性会社員(35)はハイオクを満タンにしようと機械に1万円を入れたが満タンにできなかった。「ガソリンがなくなったので仕方なく入れたが、さらにお金を入れて満タンにしようとは思わない」とあきれたように話した。

 この店の客には、相次ぐ値上げにあきらめ顔の利用客もいた。奈良市から大阪に遊びに来た自営業の男性(30)は「安い方がいいですけど、前回の大幅な値上がりで感覚がマヒした。値上げは意識していない」。大阪市浪速区の男性会社員(42)は「値上げはここに来て初めて知った」と苦笑い。

 高松市内では、2日から値上げするスタンドも多い。ある店はレギュラーを165円から176円に値上げする。所長(32)は「社用車の給油をセルフスタンドに変える会社も出てきた。お客さんを引き留める工夫をしないと」。別の店はレギュラーを158円から173円に上げる予定。店長(61)は「通常は200台くらいだが、1日は500台から600台は来た。にぎやかなのも一時です。価格は上がりっぱなしで、お客さんはまたしばらく来なくなるでしょう」とため息交じりに語った。

 本社の指示で一律に値上げすることが多い元売り系スタンドに対し、独立系のスタンドはどの程度の上げ幅にしたらいいか難しい判断を迫られている。また、輸送などのコストがかさむ地域では上げ幅がさらに大きい。長崎県対馬市では2日から1リットル200円に値上げする店も。移動手段を車に頼る地方が多く、値上げは生活を直撃している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200806010022.html