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2008年06月01日(日) 01時27分

最大の土砂ダム排水間近 決壊恐れ住民戦々恐々 四川省朝日新聞

 【江油(中国四川省)=柿崎隆】中国・四川大地震で土砂崩れによって川がせき止められた「土砂ダム」ができた四川省北川チャン族自治県唐家山で31日、軍などによる排水路工事が終わり、1日にも排水作業が始まる。ダムの水量は1億8千万立方メートルに達し、決壊に備え、下流域の住民約19万人の避難も完了。工事に当たった関係者も同日正午までに全面撤収する。

 ダムから25キロ下流にある綿陽市江油の西屏地区は、谷間の川沿いに細長く市街地が広がる。決壊すると約1時間20分後に水が到達、約4メートルの高さになるとみられ、約9千人が31日午後5時までに高台に避難。山肌の畑地にはテントが張られた。震災や決壊情報で3度目の避難となった女性(34)は「生き残れたからしょうがないが、何度もテントを作り直すのは疲れた」。

 農村部でも、高齢者や子どもまでが布団や衣類、おもちゃなどを入れた竹かごを背負って裏山を登っていた。農民の男性(47)は「豚や鶏を連れて逃げなければいけない。食料がなくならないうちに何とか水が引いて戻れれば良いが」と不安そうに話した。

 中国政府の31日の発表では、四川大地震による死者は6万8977人、行方不明者は1万7974人。中国地震局によると、本震発生から9519回の余震が記録された。

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