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2008年06月01日(日) 22時28分

川線100周年 記念列車走る朝日新聞

 JR肥薩線の八代—人吉間(51.8キロ)が1日、開業100年を迎えた。記念列車が運行され、沿線は式典や行事でにぎわった。球磨川の清流と緑の木々をぬうように走り、「川線」の愛称で親しまれる。来年11月の全線開通100年の節目へ向け、来夏に熊本—人吉間に蒸気機関車が登場。明治末期生まれの鉄路を観光に生かす動きが活発になってきた。

小旗を振って記念列車を見送る子どもたち=球磨村一勝地のJR一勝地駅

 川線の開通は1908(明治41)年6月1日。急勾配(こうばい)が続き、「山線」と呼ばれる人吉—吉松間(35.0キロ)が開通し、八代—隼人間(124.2キロ)の全線がつながったのは翌1909年11月だ。

 午前10時、JR熊本駅で人吉行きの記念列車「特急100年レイル肥薩線号」(4両編成)の出発式があり、乗客約190人や鉄道ファンが集まった。くす玉を割った後、人吉の臼太鼓踊りに見送られて出発した。

 熊本市の田中正博さん(67)は「40年くらい前に初めて乗った。当時はSLの時代で、窓を開けたままトンネルに入ると顔が真っ黒になった。今日はゆっくり進んでいくのを楽しみたい」と話し、列車に乗り込んだ。

 人吉市出身で熊本市在住の男性(74)は高校卒業後の約5年間、川線で通勤していた。「春になると車窓から見える山の桜などの光景が懐かしい」。当時の自分を思い出したいと思って参加したという。

 午前11時53分、記念列車が球磨村の一勝地駅に着いた。子どもたちを含む地元の約300人が小旗を振って出迎えた。村観光推進連絡協議会のメンバーたちが乗客に新茶を振る舞い、観光パンフレットを渡してPR。駅にある村観光案内所で古い写真や切符、昔の制服・制帽などを飾った鉄道展も始まった。

 午後2時半、人吉駅で折り返しの記念列車を前に式典が始まった。100歳の元国鉄職員で相良村の牧山徳治さんが1日駅長として出発の合図を送った。「素晴らしい。長生きして感無量です」

 JR九州の細田勝則・熊本支社長は「人吉球磨地方は球磨川、球泉洞、国宝に指定される青井阿蘇神社など観光資源が多い。肥薩線もその一つ。整備に力を入れたい」とあいさつ。人吉市の田中信孝市長は「100周年を祝えた私たちは、肥薩線を次の世代へしっかり受け渡さねばならない」と話した。

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