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2008年06月01日(日) 21時47分

ガソリン高騰、首都圏など170円台後半朝日新聞

 ガソリン価格が1日、各地のスタンドで再び跳ね上がった。石油元売り各社による卸値の引き上げを受け、首都圏などではレギュラーガソリンが1リットルあたり170円台をつけた。消費者に買い控えの動きも出てくるなかで、末端の販売店は生き残りをかけた競争にさらされている。

  

値上げした価格を表示するガソリンスタンドの掲示板=1日、横浜市

 東京都心にある24時間営業のガソリンスタンド。1日午前11時、それまで1リットルあたり160円だったレギュラーガソリンをいきなり172円に値上げした。価格を表示する看板はない。伝票を見て、「こんなに高いのか」と驚くドライバー。コストに敏感なタクシーなどの利用が多く、1円でも価格が違うと客足に影響しかねない。店員は「安いにこしたことはないのだが……」と客離れを心配する。石油元売り大手の100%子会社が運営する。実際の引き上げ価格は直前に本社に問い合わせて初めて知った。

 1リットルあたり170円に値上げした千葉県の販売会社幹部は「リッター170円なんて過去にも記憶がない」という。

 石油業者の組合などでは、上げ幅について意見交換したり、平均価格を予想して参考にしてもらったりするなどの動きも出ている。首都圏のあるスタンド店員は「地元の石油業者の組合から『一律にこれくらいにしましょう』と値上げ額の指示があった」と打ち明ける。「客の少ないスタンドでは安値の時に仕入れた在庫をさばくのに時間がかかる。一律値上げで、もうかる店もでる」。都内のあるスタンド店員は「便乗値上げ」もでかねないと指摘する。

 輸送などのコストがかさむ一部地域での上げ幅はさらに大きい。移動を車に頼る地方が多く、値上げは生活を直撃している。新潟・佐渡で180円を超えたほか、長野で179円、北海道北見市では177円の値を付けた。長崎県の離島では2日に200円での販売が予定されている。

 長野市内のスタンド店長は「高いと言いたい気持ちはお客さんと一緒」。30リットル給油すると割引になるポイントカードを発行し誘客を図る。「昨日入れておけば良かった」。給油したばかりの女性は、少量にしておこうかと迷ったが、値上げは続くと考え直し満タンにした。

 一方、運送会社はトラックで使う軽油について、販売会社と約1月ごとに使用量が確定してから価格交渉を行うため、1日の卸値一斉値上げがすぐに影響するわけではない。それでも昨年からの軽油の高騰を受け、中小企業が多いトラック業者の団体は「とっくに限界に達している」。

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