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2008年06月01日(日) 20時42分

日本医療チーム、四川での活動終了 活動のあり方に課題朝日新聞

 中国・四川大地震の被災者救援のため、成都の四川大学華西病院で活動していた日本の国際緊急援助隊医療チームが1日、11日間の活動を終えて撤収した。対日好感度アップには貢献したが、協力のあり方には課題を残し、2日帰国する。

成都市内の病院敷地内にテントを張って活動した日本の国際緊急援助隊・医療チーム=四川省成都、中田徹撮影

 医師ら23人が乗り込んだ日本チームは、テントを病院の敷地内に設営して事務所とし、院内では集中治療室や人工透析室などで中国人スタッフに協力。被災地近くの病院から転院してきた患者の治療に当たった。

 骨盤損傷の恐れがある患者を担架から台に移すときの方法を教えたり、胸の張りを訴えていた出産直後の女性に日本式マッサージをするなど、日本ならではの細かい心配りが好評だった。扇風機や花束などの差し入れが届き、「ありがとう」と声をかけていく人も多い。大病院にテントを張っての活動は人目を引き、メディアにも注目された。

 だが、被災現場での活動を想定していた日本にとって、大病院での活動は当てはずれだった。中国側の要望を知ったのは現地入り直後。被災地用に持ち込んだ機材の一部は使われずじまいだった。

 対照的なのがドイツのチームだ。中国側と事前に綿密に打ち合わせ、都江堰(とこうえん)市の病院計約1千床が使用不能になったことを把握。現地入りは日本より3日遅れたが、放射線科や手術室、自家発電設備など、病院を丸ごとつくれるほどの機材を持ち込み、実際に120床を備えた野戦病院を50時間余りで完成させた。

 ドイツが派遣したのは医師2人と技師ら計約10人だけで日本の半分以下、現場は中国人の医師や看護師に任せた。責任者は「中国にマンパワーは要らない。現地スタッフが多すぎて調整が難しいほどだ」と言う。

 ドイツチームを視察した日本人スタッフは「日本は現地入りを急ぐあまり調整不足だった」と残念そうに話した。(成都〈中国四川省〉=阿久津篤史、浅倉拓也)

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