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2008年06月01日(日) 20時39分

ミャンマー軍政の対応に非難集中 サイクロン救援巡り朝日新聞

 【シンガポール=杉井昭仁】13万人以上の死者・行方不明者が出たミャンマー(ビルマ)のサイクロン被害を巡り、当地で1日まで開かれたアジア安全保障会議(英国際戦略研究所〈IISS〉主催、朝日新聞社など後援)の参加者から、国際社会からの援助受け入れを厳しく制限し続けるミャンマー軍事政権の対応に非難が噴出した。

 ミャンマーのエイ・ミン副国防相は1日の全体会合での演説で、「我々は国連やNGOと協力して救援に全力を尽くしている」と述べ、復興段階に入ったことを強調した。だが、軍政は国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長の要請を受け、国際社会からの人的支援受け入れ拡大を表明したものの、国際赤十字や米国などの要員に査証を出していない。

 こうした軍政の対応に、ルルーシュ仏下院議員は、1千トンの救援物資を積んだ同国軍艦の入港が認められなかったことを取り上げ、「内政不干渉の原則は、体制が国民を無言のうちに死なせる権利ではない」と非難。被災国の指導者が国際社会からの救援を拒めば、「保護する責任」に基づき国際刑事裁判所で裁かれるとする国連安保理決議を採択すべきだと主張した。

 ドイツからの参加者も「軍が速やかに援助物資を配ることができなければ、国際機関からの入国拡大を求める」と訴えた。司会のIISSのチップマン所長も、参加国の国防相らが、被災国は必要な場合には外国や国際機関の支援を「招く責任」があるとの認識で一致したと言及した。

 しかし、エイ・ミン副国防相は「我々は条件抜きの、政治的でない援助であれば歓迎する」と、軍政の主張を繰り返すにとどまり、援助の受け入れ拡大を求める参加者との溝は埋まらなかった。

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