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2008年06月01日(日) 20時31分

ファースト社詐欺、閉鎖5か月前に資金難読売新聞

好条件示して営業、被害拡大か

 秋田市の先物取引会社「ファーストオプション」(破産)の出資金詐欺事件で、同社が事務所を突然閉鎖して問題が発覚する5か月前の2005年の暮れの時点で、すでに資金繰りが行き詰まっていたことが、元社員の話でわかった。県警によると、逮捕した元社長細川広明容疑者(49)は事務所閉鎖の直前に、「とにかく金を集めてこい」と社員らに指示し、社員らは従来より有利な条件を顧客に示して出資金集めに奔走した。県警は同社が経営難を乗り切ろうと無理な出資金集めをして被害を拡大させたとみて調べている。

 元社員によると、顧客から集めた出資金は、経理を担当する総務課が管理。05年12月末には、総務課に出資金がほとんど流れてこなくなり、社員の間で「会社がつぶれる」との声が出始めた。転職先を探す社員もいた。06年1月から営業担当の社員たちの給与が減額され、同年4月には事務担当社員の給与が支払われなかった。資金繰りが悪化したことで顧客への営業はより熱心になったという。

 県警の調べによると、同社は、資金繰りが順調な時期は顧客に「配当までの期間1年、配当率3%」と説明していた。しかし、事務所閉鎖の直前には、「配当期間1か月、配当率20%」と破格の好条件を顧客に持ちかけ出資を募った。細川容疑者は「とにかく金を集めろ」と指示し、社員らは顧客にセールストークで自ら自由に金利を設定するなどしていたという。

 そして同年5月15日、細川容疑者は秋田市山王の同社事務所を突然閉鎖し、行方をくらました。

 経営が行き詰まっていた06年3月、県内の70代男性は、逮捕された元取締役の川崎政美容疑者(55)から電話を受け、「これまでは出資の際に3%の手数料を取っていたが、1%にするから出資してくれ」と従来より有利な条件で出資を勧められ、現金を渡した。しかし、これを含め、出資したほとんどの1000万円近くが未返還になった。

 約200万円を出資した70代女性も同月、社員から「運用期間の途中でやめた出資者がいる。残りの期間分を投資してくれれば、この人の分の利息もあげる」と出資を求められたという。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20080531-OYT8T00793.htm