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2008年06月01日(日) 00時22分

携帯電話の販売、試練の年? 各社、低めの出荷計画朝日新聞

 携帯電話機の販売が頭打ちになりそうだ。長期利用を前提にした新販売方式の定着で買い替えが進まないため、今年度は出荷台数が1割近く減るとの予測が出ている。有力メーカーも出荷計画で低めの数字を公表した。メーカーには試練の年になるかもしれない。

  

 「新販売方式の影響で、買い替えサイクルが長期化する」。国内首位のシャープの佐治寛副社長は、4月の08年3月期決算発表でこう語り、09年3月期の携帯電話機需要が鈍るとの見通しを示した。同社の販売台数は1480万台と想定。ワンセグ放送対応機種で販売台数を伸ばした前期より2%少ない。

 高齢者向けに機能を絞った端末が好調で08年3月期に前期比1.4倍以上の590万台を出荷した富士通も、09年3月は560万台と前期を下回る計画だ。

 調査会社MM総研の予測では、09年3月期1年間の携帯電話出荷台数は前期より9.2%減り4610万台の見通しだ。実際に減少すれば4年ぶりになる。

 理由に挙げるのは、やはり、NTTドコモとKDDI(au)が昨年11月に始めた新販売方式だ。携帯電話機の価格を高くする代わりに通話料を安くし、短期間で買い替える客には以前より不利な仕組みになった。また、割引の前提に2年契約を採り入れたため、事業会社間の利用者の移動も減るとみている。

 国内2位の松下電器産業や、ソフトバンクへの端末供給を始めるNECのように、09年3月期も出荷台数の増加を見込むメーカーもある。ただ、三菱電機の撤退や三洋電機の京セラへの売却など振るい落とされるメーカーも出ており、厳しい市場環境はさらなる淘汰(とうた)につながる可能性もある。(冨田佳志)

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