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2008年05月31日(土) 01時42分

物価上昇、しぼむ消費 景気踊り場、先行き不安朝日新聞

 総務省が30日発表した4月の全国消費者物価は、7カ月連続で前年同月より上昇した。個人消費は盛り上がりを欠いており、悪影響を与える懸念が高まっている。同日発表された生産や雇用の指標もさえず、「踊り場」にある景気の先行きは依然として視界不良だ。

  

 4月の全国消費者物価は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数(05年=100)が100.8で、前年同月より0.9%上昇。ガソリン税の上乗せ税率が一時的に切れた分だけ価格が下がったため、1.2%上がった3月よりは上昇ペースが鈍った。

 ただ、5月に上乗せ税率が復活したガソリンは6月に1リットル=170円の大台に乗る公算が大きくなり、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、食酢製品など値上げの動きは広がる一方だ。市場では物価上昇率は5月に再び1%台に戻るとの見方が大勢だ。

 政府は個人消費を「横ばい」とみるが、総務省が発表した4月の家計調査では、マヨネーズやパン、カップめんなど値上がりした品目で、消費者の買い控えが続いていることが読み取れる。

 企業活動も停滞気味だ。経済産業省が発表した4月の鉱工業生産指数(季節調整済み速報値)は前月より0.3%下がり、2カ月連続で低下した。大田経済財政相は30日の記者会見で「米国経済の減速を受けて、日本やアジアの対米輸出が減れば生産も減る。先行きは楽観できない」と懸念を示した。

 また、総務省が発表した4月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.2ポイント高い4.0%で、7カ月ぶりに4%台に乗せた。厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率(同)は3カ月連続で低下。国土交通省が発表した4月の新設住宅着工戸数は、前年同月比8.7%減の9万7930戸。改正建築基準法の施行から10カ月連続の前年割れとなった。(庄司将晃、座小田英史)

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