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2008年05月31日(土) 13時53分

振り込め詐欺、第2のピーク 「年金不安」つけ込む手口急増産経新聞

 4月の振り込め詐欺の被害額が全国で約33億2661万円にのぼり、最悪だった平成16年下半期(7〜12月)と同水準に戻ったことが30日、警察庁のまとめで分かった。被害はいったん沈静していたが、社会保険事務所の過払い金返還などを装い送金させる「還付金詐欺」の手口が急増しており、「年金問題」への関心の高まりが被害の再増加の一因になった形だ。
 警察庁は「第2のピーク」と危機感を強めており、現金自動預払機(ATM)を利用した口座間送金の上限枠設定を利用者に促すよう全国銀行協会に要請。銀行側は6月から利用者に対策を呼びかける。
 警察庁は振り込め詐欺を、親族などを語る「オレオレ詐欺」、実在しない債務の返済を強要する「架空請求詐欺」、架空融資の保証金の前納を求める「融資保証金詐欺」と還付金詐欺の4つに分類している。
 被害額のピークは、還付金詐欺の統計を始めた16年9月の38億9200万円がピークで、口座開設者の身元確認の徹底を義務づける本人確認法の改正などの防止策で、17年8月に約15億3400万円まで減少。19年1月にATMを利用した現金送金の1回当たりの上限を10万円に制限する規制によって、約11億円にまで減っていた。
 再び増加に転じたのは、昨年2月以降。被害額を押し上げているのは、社会保険事務所や都道府県庁、市区役所の税務部門などを名乗り、過払い分を返金するとして無人のATMに誘導、携帯電話で画面の操作方法を指示し、犯人の指定口座に送金させる還付金詐欺と呼ばれる手口。
 警察庁によると、還付金詐欺の被害は、昨年1月には未遂を含む事件の認知件数は79件で被害額は約8600万円だったが、今年1月には426件で約4億5000万円に急増。4月は651件で7億円を突破した。その約6割は社会保険事務所を語ったケース。
 1月から4月までに認知した同様手口の事件では、被害者の76%は女性で、60歳以上が全被害者の74%を占めている。
 ATMの口座間送金の上限設定を呼びかける全銀協では「社会保険料を還付するといった通知に対しては、ATMに向かう前にまず直接、社会保険庁などの役所に連絡して確認してほしい」としている。

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