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2008年05月31日(土) 02時31分

<PCI>ODA受注へ裏金1億円、脱税で捜査 東京地検毎日新聞

 大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)が、政府開発援助(ODA)事業を受注するために、年間約1億円の裏金を作り、東南アジアなどの政府関係者にリベートとして渡していた疑いがあることが、関係者の話で分かった。東京地検特捜部は、裏金の捻出(ねんしゅつ)は所得隠しに当たるとみて、法人税法違反(脱税)の疑いで捜査している。

 関係者によると、PCIは香港に同社元役員を社長とする現地法人を設立。03年ごろから、営業調査費の名目で送金を繰り返し、毎年1億円程度の裏金を捻出してきた。裏金の一部は、ODA事業の受注工作資金として外国政府の関係者に提供するため、現地のエージェントに渡されていたという。

 こうした手法は、日本企業の海外駐在員から外国公務員に対する贈賄に関する罰則が強化された不正競争防止法の改正(04年)に合わせて考案された。それまではエージェントを介さずに、現地法人の社員が直接、外国政府関係者にリベートを渡していたという。

 特捜部は、外国公務員からわいろの授受に関する供述を得られる可能性は低く、不正競争防止法違反での立件は困難と判断。一方で、PCIが捻出した裏金は正当な経費とは認められないとして、法人税法違反容疑で調べている。

 PCIは、中国での遺棄化学兵器処理事業を巡り、国から事業費約1億4100万円をだまし取ったとして、前社長の多賀正義容疑者(62)らが詐欺容疑で逮捕されている。特捜部は、遺棄化学兵器処理事業だけでなく、ODA事業でも不正な経理処理があったとみて調べていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080531-00000012-mai-soci