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2008年05月31日(土) 03時00分

「アイヌの人々は先住民族」 今国会で決議採択へ朝日新聞

 アイヌ民族を先住民族として認め、アイヌ政策の推進を政府に求める国会決議が今国会で採択される見通しとなった。超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(世話人代表・今津寛自民党衆院議員)が決議文案を一部修正した結果、自民など各党が受け入れる方向となった。

 政府は96年の有識者懇談会報告書で、アイヌ民族の先住性・民族性は認めたが、先住民族とは明確に認めていない。認めれば、土地補償などの権利問題が起き、財政負担が生じるとの懸念があるためだ。

 しかし、昨年の国連総会では、先住民族に幅広い権利を認める「先住民族の権利に関する宣言」が日本も賛成して採択され、7月の北海道洞爺湖サミットを前に、先住民族と認める国会決議を採択する機運が高まった。「議員の会」の世話人は23日、先住民族と認める決議文案をまとめた。

 その後の調整で、「アイヌの人々が労働力として拘束、収奪されたため、その社会や文化の破壊が進み、『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」などの記述は削除したが、アイヌの人々を「独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族」として認める▽「高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進」することを政府に求める——との部分は残す方向で各党が一致した。

 この問題では、「北海道ウタリ協会」などが政府に先住民族として認めるよう求めてきた。政府は、国会決議が採択されても従来の見解を変更する姿勢は示していないが、有識者会議の設置などの取り組みを強化する方針だ。

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