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2008年05月31日(土) 00時00分

ガソリンさらなる値上がり フェリー航路廃止も朝日新聞

 原油高による燃料の高騰が止まらない。ガソリンの小売価格が6月から値上げされ、1リットルあたり170円台に突入しそうで、ガソリンスタンドでは値上げの動きも出始めた。瀬戸内海のフェリー航路は廃止に追い込まれ、軽油の値上がりは運送業界にも打撃を与えている。

因島・土生港を静かに出港する最後の便。消えゆく姿を写す人も見られた=31日午後6時8分、広島県尾道市、森井英二郎撮影 営業終了後、レギュラー178円など6月1日からの価格に変更されたガソリンスタンドの表示=31日午後10時8分、堺市堺区、小玉重隆撮影

 「石油情報センター」(東京都)によると、5月26日現在のレギュラーガソリン1リットルの全国平均小売価格は160.3円。すでに調査開始(87年)以来の最高値で、1年前より23.5円高い。石油元売り各社が1日からの卸値を1リットルあたり9.5〜13円引き上げるうえ、利幅改善のため、直営販売会社に1日からの値上げを指導している。

 堺市のガソリンスタンドは1日からの1リットル11円引き上げに向けて31日夜、178円に書き換えた。昨年末に2店舗を閉め、残りは2店。会社幹部は「採算が悪化し、安売りでなく、顧客サービスで勝負するしかない」と話す。

 大阪府、兵庫県の25カ所でスタンドを直営する大阪市北区の販売会社は1リットル13円上げる。「こんな高騰はオイルショック以来」と同社幹部。暫定税率騒動で5月初めは販売量が前年の4割減。「1日から客は買い控えるだろう。倒れる業者が出るのでは」

 同市浪速区の24時間営業セルフスタンドでは31日、給油を待つ車の列ができた。八尾市の会社員弘中由紀夫さん(43)は「もう感覚がマヒしてきたが、妻に言われ値上げ前に来た」。

 一方、「芸予観光フェリー」(本社・愛媛県今治市)は、今治市の伯方島と広島県尾道市の因島を結ぶフェリー航路を31日で廃止した。午後7時すぎ、伯方島の木浦(きのうら)港に到着した最終便からは10人ほどの乗客と車とバイクが1台ずつ下り、特別なセレモニーもなくひっそりと役目を終えた。

 フェリーは1968年に就航。99年5月にしまなみ海道の開通で減船減便し、02年度に客の減少で赤字に転落。05年5月に1リットル約53円だった重油はこの4月に90円に上がり採算が悪化した。赤尾宣宏社長(67)は「どうコスト削減しても原油高で赤字が膨らむ」。

 運送業界も厳しい。03年ごろ70円前後だった軽油は、5月末に140円前後に。府内の運送会社はこの3年で、トラックを35台から28台に減らした。社長(55)は「毎日、単価を計算する自転車操業。国や元売り会社に踊らされている中小企業を守る仕組みを作ってほしい」とこぼした。

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK200805310105.html