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2008年05月30日(金) 03時03分

マル優や減税、与党が高齢者向け政策案 財源示さず朝日新聞

 後期高齢者医療制度をめぐって「高齢者に冷淡だ」と批判され、自民党が検討を始めた高齢者向け総合政策の原案がわかった。株式に投資する高齢者の配当などを対象にしたマル優制度の創設や、3世代同居世帯に対する所得税減税などが柱になっている。

  

 自民党の「高齢者の『安心と活力』を強化するための合同部会」(会長=与謝野馨前官房長官)が30日に「『健康現役社会』実現のための優先検討事項」として決定する。福田首相の指示を受けて検討した経緯があり、「骨太の方針2008」に優先的に盛り込むよう政府に求める方針だが、財源の裏付けは示されていない。

 具体的には、高齢者が資産を有効活用できるよう、上場株式などの一定額以下の配当や譲渡益を非課税にする「高齢者投資マル優制度」(仮称)を設ける。家族やコミュニティーのきずなを強めるため、3世代で同居したり、近くに住んでいたりする世帯を対象に所得税や不動産取得税を減税する。

 さらに、年齢にとらわれない勤労環境の整備を促すため、65歳以上の高齢者を5割以上雇用する事業所に対する法人税などの減税も明記。また、団塊世代の大量退職を受けて、経験豊かな企業OBを中小企業が照会できる3万人のデータベースづくりなどを盛り込んだ。

 全体の理念として「高齢化社会から健康現役社会への変革」を最大の国家戦略と位置づけ、高齢者が社会貢献し、自分に投資していく社会の構築を訴えている。その実現に向け、優先検討事項の主要項目を骨太の方針に盛り込んで優先的に予算配分するほか、経済財政諮問会議や各府省で実現までの工程表を作成するよう求めている。

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 「高齢者の『安心・活力』を強化するための取り組み案」(要旨)

 【勤労環境の整備】雇用保険事業による65歳以上の雇用支援を拡充▽高齢者多数雇用事業所への減税

 【知恵と経験の活用】企業OBと中小企業をマッチングさせる「新現役チャレンジプラン」▽高齢者の起業への無担保低利融資など

 【資産の活用】「高齢者投資マル優制度(仮称)」の創設▽リバースモーゲージ普及のために住宅金融支援機構による融資保険制度の拡充

 【きずなの強化】シルバー世代にかかわるNPOの支援▽3世代同居・近居減税▽「シルバー保育サポーター(保育大ママ、保育大パパ)」制度

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