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2008年05月30日(金) 00時00分

虚業で上場、自社株売却益8億7千万円 IXI前社長朝日新聞

 大阪市のソフトウエア開発会社「アイ・エックス・アイ」(IXI)=清算手続き中=の粉飾決算事件で、前社長の嶋田博一容疑者(49)が02年の新興証券市場の上場後と、04年の東証2部の上場後にそれぞれ保有するIXI株を売却し、少なくとも計8億7千万円の利益を得たことが大阪地検特捜部などの調べでわかった。嶋田前社長は当時すでに架空の循環取引を繰り返して売り上げを水増し計上していたとされる。特捜部は、虚偽の決算を用いて上場を果たした後に自らの利益を図ったとみて調べている。

 特捜部は29日、嶋田前社長ら4人に加え、元課長の佐山敬祐容疑者(44)も証券取引法(現・金融商品取引法)違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕。前社長らは、IT関連企業との間で循環取引を繰り返して架空の売り上げを計上し、03年3月期の有価証券報告書で連結売上高を約17億円以上水増しし、連結純損失を12億円余り穴埋めして黒字を装うなど虚偽の実績を記載して、近畿財務局に提出したとされる。

 特捜部などの調べや関係者の話によると、嶋田前社長は大証ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)に上場して7カ月後の02年10月、保有していたIXI株のうち763株を売却し、1億9千万円の利益を得た。また、東証2部上場当日の04年3月18日には300株を売って1億9千万円、同22日には75株を売って5千万円を得た。さらに同年8月には、1333株を売って、4億4千万円を手にしたという。

 同社の管財人の弁護士らによると、嶋田前社長らは01年ごろから架空循環取引を始めたとされ、01年4月〜06年9月の売上総額約1205億円の98%にあたる約1182億円が、循環取引による架空の売り上げと疑われるという。

 また、逮捕容疑となった虚偽記載によって好業績を装った03年3月期の有価証券報告書をもとに、公募増資を実施。一般投資家らから23億円を調達し、東証2部への上場を果たしたとされる。

 不動産登記簿によると、嶋田前社長は06年1月、兵庫県宝塚市の高級住宅街の一角にある約600平方メートルの土地を購入。昨年8月に邸宅を新築しており、自社株売却益で建てた疑いがあるとみられている。IXI関係者は「架空の循環取引を続けて好業績を装い、自社株を売り抜けて多額の利益を得たことは投資家に対する詐欺的行為だ」と批判している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805290105.html