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2008年05月30日(金) 03時01分

日本製紙とレンゴー経営統合検討 王子抜き国内首位狙う朝日新聞

 製紙業界2位の日本製紙グループ本社と4位のレンゴーが、経営統合の検討に入った。両社の売上高(08年3月期)は合計1兆6500億円で、統合が実現すれば王子製紙を上回り首位になる。製紙業界は古紙や重油など原燃料の急騰と国内市場の飽和に悩んでおり、統合による規模拡大と生産効率化が狙いだ。

 製紙業界では、06年夏の王子製紙による北越製紙への敵対的買収提案をきっかけに、合従連衡が加速。日本製紙グループ本社とレンゴー、レンゴーの大株主の住友商事の3社は06年11月に業務・資本提携を発表した。3〜5%の株式を持ち合い、原料調達や生産設備の統廃合を共同で進める検討を進めてきた。

 その過程で、一段の効率化のために提携をさらに強化する案が浮上。レンゴー内部にはなお慎重論が残っているが、経営統合が得策との判断に傾いている模様だ。

 検討されている案では、日本製紙グループの段ボール原紙生産子会社である日本大昭和板紙とレンゴーが統合。新しい事業会社の経営はレンゴーが主導権を握る一方、日本製紙グループの一員になる方向だ。

 生産の効率化は、東日本では、日本製紙グループの草加工場(埼玉県草加市)の生産設備の一部を廃棄し、最新鋭のレンゴーの八潮工場(同県八潮市)で稼働率を上げる。西日本では老朽化したレンゴーの淀川工場(大阪市)を閉鎖し、日本製紙グループの大竹工場(広島県大竹市)に集約する案が有力だ。

 日本製紙グループは、主力の印刷・コピー用紙のシェアで王子をしのぐが、段ボール原紙では王子の半分強の約15%にとどまる。段ボールが主力のレンゴーは完成品で首位に立つうえ原紙も2割近いシェアを握っており、日本製紙グループと統合すれば、原紙でも王子を抜くことになる。

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 〈日本製紙グループ本社〉 国内製紙2強の一角。旧十条製紙が93年に山陽国策パルプと合併、さらに01年に大昭和製紙と統合し、04年から現社名になった。本社は東京都千代田区。08年3月期の連結売上高は1兆2116億円。純利益は56億円。グループの従業員は約1万2千人。

 〈レンゴー〉 日本で初めて段ボールを事業化した三成社が前身。本社は大阪市。段ボールの最終製品では最大手で、総合製紙を含めた製紙業界全体では4位。08年3月期の連結売上高は4353億円。純利益は56億円。グループ従業員は約9700人。

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