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2008年05月30日(金) 22時57分

生物多様性条約会議 10年は名古屋開催朝日新聞

 【ボン(ドイツ西部)=金井和之、井上未雪】ドイツのボンで開催中の生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)は最終日の30日、2010年のCOP10の開催地を名古屋市に正式決定した。国内での開催は初めて。人類が生きていくのに欠かせない生物の多様性が失われていく速度に歯止めがかからない中、有効な手だてを打ち出せるか、正念場の会議となる。

 開催地決定を受けて鴨下環境相は「生物多様性にとって節目の年に行われるCOP10の成功に向けて各国や地元と一体となって努力する」と演説した。「ポスト万博」として誘致していた神田真秋・愛知県知事と松原武久・名古屋市長もあいさつした。

 190カ国・地域以上の政府やNGOなど6千人以上が参加したCOP9では、バイオ燃料と農業の関係のほか、生物資源をどう利用するかなどが大きなテーマになった。COP10では、医薬品など生物を利用して得られた利益を、企業と原産国で分け合う「遺伝資源への取得と利益配分(ABS)」のルール作りや、保護地域の問題が話し合われる。

 ABSについては、法的義務を求めるアフリカをはじめとする途上国や容認派のドイツなどと、日本やカナダなどがCOP9の場でも対立したものの、具体的な中身を議論することで合意した。COP10がルールを決める期限になっており、議長国となる日本は難しいかじ取りを迫られそうだ。

 各国は、多様性の損失速度を10年までに顕著に減少させる「2010年目標」を掲げているが、名古屋では、これに続く11年から20年までに数値目標など具体的な目標を決めることになっている。アハメド・ジョグラフ条約事務局長が「ナゴヤ・ターゲット」と呼ぶこの新目標を議長国としてまとめられるかどうかも焦点となる。

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 〈生物多様性条約〉 1992年の地球サミットで日本を含む各国が署名し、93年に発効した。生物多様性の保全と持続可能な利用、遺伝子資源から得られる利益の公正な配分を目的とする。締約国には国家的な戦略や計画の作成、重要な生物の監視などが求められる。日本は95年に国家戦略を初めて策定。07年に第3次戦略を閣議決定した。締約国会議(COP)は隔年で開催される。

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