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2008年05月30日(金) 20時20分

地方分権推進委が1次勧告 首相「内容に沿って対処」朝日新聞

 政府の地方分権改革推進委員会の丹羽宇一郎委員長(伊藤忠商事会長)が30日、首相官邸を訪れ、国道や1級河川の一部の都道府県への移管などを盛った第1次勧告を福田首相に手渡した。

 政府は勧告を受けて、6月中旬の地方分権改革推進本部(本部長・福田首相)で対処方針を決める予定。首相は同日夜、記者団に「内容に沿った対処方針を立てていかなければならない」と述べた。丹羽氏は「総理から『今までの方針通り思い切ってやってほしい』と力強い言葉をいただいた。勧告を尊重していただけると思う」と語った。

 これに先立ち、自民党地方分権改革推進特命委員会(山口俊一委員長)が同日午前、党本部で開かれ、「地方に任せたら良くなるというのは間違いだ」などと1次勧告を批判する声が相次いだ。

     ◇

 地方分権改革推進委員会第1次勧告の主な内容は次の通り。

 はじめに 第1次勧告は、主として市町村の自治権拡充をはかる方策について勧告した。

 第1章 国と地方の役割分担の基本的な考え方=略

 第2章 重点行政分野の抜本的見直し

 以下の事項を速やかに実現すべきだ。国の事務・権限の自治体への移譲は人員や財源移譲などの手当てが前提となる。

 保育所や老人福祉施設の施設設備基準は、国は標準を示すにとどめ、自治体が決定し得ることとする▽農地転用に係る国の許可権限を都道府県に移譲▽直轄国道の要件を見直し、(1)同一都府県内に起終点がある(2)バイパスの現道(3)一部が都府県等管理(4)都道府県庁所在地、人口30万人以上の市(の連絡)を基本とすることで対象外となる——区間は原則都道府県に移管▽1都道府県内で完結する1級水系の1級河川の直轄区間は原則都道府県に移管。自治体がおおむね1都道府県内で完結するとして要望する1級水系も同様

 第3章 基礎自治体への権限移譲と自由度の拡大

 (1)別紙1のとおり、都道府県から市町村への権限移譲を勧告する。財源措置と人的支援が不可欠。市町村合併の進展等を踏まえ、市に優先的に移譲を進める。(以下、別紙1の主な内容)

 【政令指定都市へ移譲】市街地再開発組合の設立認可▽NPO法人設立の認証

 【中核市(人口30万などが要件)以上へ】指定障害福祉サービス事業者の指定(都道府県が同意)▽教職員定数決定▽市町村立学校職員の給与負担▽県費負担教職員任命権

 【特例市(人口20万などが要件)以上へ】助産施設、母子生活支援施設の設置認可▽大気汚染の常時監視

 【保健所を置く市へ】薬局開設許可▽公衆浴場配置基準の設定

 【一般市以上へ】都市計画区域での開発行為許可▽2ヘクタール以下の農地転用許可▽宅地造成工事許可▽養護、特別養護老人ホーム設置認可▽保育所、児童館設置認可▽身体障害者手帳交付▽母子福祉資金貸し付け▽介護保険の指定居宅サービス事業者の指定(都道府県が同意)▽未熟児の訪問指導▽商店街整備計画の認定

 【町村へも】火薬類販売営業許可▽町、字区域新設の届け出受理

 (2)国庫補助対象財産の処分(目的外転用、譲渡、取り壊し等)は、おおむね10年経過後は原則、届け出・報告等で国の承認があったとみなし、国庫納付を求めない。10年経過前でも、災害による損壊など補助事業者等の責に帰せない処分、市町村合併、地域再生等の施策に伴う処分は同様。

 第4章 現下の重要2課題

 (1)道路特定財源の一般財源化で、税源移譲を含め自治体の税財源を充実強化し、自治体の道路整備の自由度を最大限拡大する方策を検討すべきだ。

 (2)消費者行政強化には、国の国民生活センターと自治体の消費生活センターを結ぶ迅速な情報収集ネットワークを早急に整備、立ち入り検査や改善命令等の権限を自治体に移譲する必要がある。

 第5章 第2次勧告に向けた検討課題=略

 おわりに=略

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