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2008年05月30日(金) 01時41分

政府、自衛隊機派遣を見送り 中国内の反発懸念朝日新聞

 日本政府は29日、中国・四川大地震の被災者支援のための自衛隊機派遣を見送る方針を固めた。中国側が求めているテントなどの救援物資は、民間機をチャーターして輸送する方針だ。中国国内で、自衛隊の受け入れに反発があることを踏まえて見送りを決めた。

 複数の政府関係者が29日夜、「今回は自衛隊機を派遣することはない。民間のチャーター機で運ぶ」と明言。「中国政府内のコンセンサスがとれなかった」「自衛隊機の使用は選択肢の一つだった。そこだけ報道で大きくクローズアップされ、中国側も戸惑ったのではないか」などと説明した。

 これに先立ち、町村官房長官は同日午後の記者会見で、テントなどの物資の輸送は自衛隊派遣が目的ではないと強調し、「中国政府の中にもいろいろなお考えがある。先方との調整もまだ残っている」と語った。斎木昭隆外務省アジア大洋州局長は29日、北京で中国の武大偉外務次官と会談し、自衛隊機による援助物資運搬を申し入れたが、武次官は謝意を述べたうえで、具体的な方法については持ち帰って検討するとしていた。

 中国政府は27日に北京の日本大使館に救援物資の輸送を要請。日本側は、輸送手段について「自衛隊によるものも含めて要請があった」(町村官房長官)と説明し、国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊派遣を検討。航空自衛隊のC130輸送機3機でテントや毛布、医薬品などを運ぶ派遣計画を固めて準備を進め、中国側の最終判断を待っていた。実現すれば、事実上初めて、自衛隊機が中国に入ることになるはずだった。

 中国国内では、これまでの日本側の支援活動を通じ対日感情が好転したとはいえ、反日世論は根強く、インターネット上には「中国人は日本の軍隊を必要としていない」「断固拒絶する」といった反対意見と、「受け入れるべきだ」とする賛成意見が書き込まれていた。

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