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2008年05月30日(金) 01時36分

小麦・コメ、10年後は3〜4割高 OECDなど予測朝日新聞

 【パリ=尾形聡彦】経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)は29日、今後10年間の農産物需給の見通しを発表した。現在の価格高騰は一服するものの、コメや小麦の価格は過去10年と比べ3〜4割高で推移するなど高止まりしそうだ。

 FAOが6月3日からローマで開く「食糧サミット」では、中長期的な食糧高騰問題への対応も問われそうだ。

 この見通しは、OECDとFAOが毎年発表している。08年版では近年のオーストラリアの干ばつなど極端な悪天候の影響は薄れるとみて、農産物価格は次第に下落すると予測した。

 しかし、新興国や途上国の需要増、原油価格の高騰、バイオ燃料向け穀物需要の増加など構造的に農産物価格を下支えする要因も多いことから、今後10年(08〜17年)の農産物価格は、過去10年間(98〜07年)の平均価格を大きく上回って、高水準のまま推移すると見通している。

 小麦の過去10年の平均価格はトン当たり約164ドルだったが、07年(推計値)は約319ドルまで上昇。08年以降は下落するが、今後10年の平均価格は約234ドルで過去10年と比べ約43%上昇する。

 今後10年と過去10年の平均価格を比べるとコメは約34%、牛肉と豚肉は約20%、砂糖は約30%、バターは60%以上、植物油は80%強、それぞれ価格が上昇するという。

 農産物価格の高止まりが長期化することで、途上国の食糧問題が一層、深刻化する可能性がある。さらに、国連など援助機関にとっても費用負担増につながりそうだ。

 見通しは今後10年間は地球温暖化の影響が顕在化せず、米ドルが大半の通貨に対して上昇し、原油価格も1バレル=100ドル前後で推移することなどを前提にしている。前提が崩れると、農産物価格はさらに上昇する可能性がある。

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