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2008年05月30日(金) 15時21分

100回迎えた「カンブリア宮殿」司会の村上龍に聞く朝日新聞

 経済人に経営哲学などを聞くテレビ東京系のトーク番組「カンブリア宮殿」が、26日の放送で100回を迎えた。司会は経済問題に強い関心を寄せる作家、村上龍とタレントの小池栄子。番組を通じて見えてきたことなどを、村上に聞いた。

経済人を通して今の日本を見つめてきた村上龍=郭允撮影

 06年4月に放送開始。番組名は、現代を「経済の大変革が起きている時代」と位置づけ、多種多様な新生物が誕生した「カンブリア紀」にたとえた。収録に使われる壮大な宮殿のセットは、映画に登場するかのようで目を引く。

 番組を通じて村上は、どの経営者、トップも「現場に足を運ぶ、とにかくコミュニケーションをとること」の2点を重視していることに気づいたという。「社員からのメールをほとんど見るとか、返事は全部出すといったことをできる人が多いので、つまらない会議が減るわけです」。一方で、「企業の成功要因には他の企業の参考になることと、その企業にしかできないことがある。それは分けて伝えられれば」とも話す。

 収録の前には、村上や小池と制作者らが綿密に打ち合わせをする。扱うテーマなど、全体の構成について村上のアイデアが反映されることも多い。福田一平プロデューサーは「村上さんには時代を切り取る感性があり、テレビ業界の人間にはない発想が出てくる」と起用の理由を挙げる。

 番組の視聴者層はビジネスマンを中心に幅広いが、村上はその中でも特に若い世代を意識している。「フリーターや偽装請負の問題でわかるように、若い人はこき使われている人が多い。そういう人たちのための質問もしているので、ぜひ見て欲しい」と話す。(村瀬信也)

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200805300211.html