記事登録
2008年05月30日(金) 14時38分

グッドウィル高級老人ホーム、柱など800か所に不整合読売新聞

 介護事業を手がけていたグッドウィル・グループ(GWG、東京)が東京都世田谷区内に開設した高級有料老人ホームで、建築確認を受けた設計に比べ、実際の鉄筋本数が少ないなどの不整合が多数あることが、30日、東京都の調査でわかった。

 食い違いのある柱や梁(はり)などの部材は、約800か所確認された。事態を重視した都は、建築基準法上の耐震強度を満たしているかどうかの検証を始めた。GWGなどは同日午後、説明会を開き、入居者にこうした経緯を説明する。

 この有料老人ホームは、2006年5月に開設された「バーリントンハウス馬事公苑」(7階建て、139室)。構造計画研究所(東京)が構造設計を担当。指定確認検査機関の日本建築設備・昇降機センター(同)が建築確認を行い、東急建設(同)が建設した。入居一時金は1室5000万円台から3億円。入居者約70人の平均年齢は75歳で、うち2割が要介護・要支援の状態にある。

 関係者によると、不動産コンサルティング会社「ゼクス」(同)が昨年12月に、約200億円で、同施設と都内の別の施設計2か所をGWGから取得する予定だった。ところが、ゼクス側が「馬事公苑」の建築関係書類をチェックしたところ、建築確認時の設計と実際の建物の間で、柱や梁の鉄筋本数が少ないなどの食い違いが見つかった。このため、同施設の運営だけは予定通りゼクスに引き継がれたが、譲渡はこれまで延期されている。

 相談を受けた都が同センターや東急建設から提出された資料などをもとに詳細に点検した結果、地下1階から7階の柱や梁など計約3000か所のうち、3割弱の計約800か所で不整合が確認された。このうち、柱と床ではそれぞれ100か所以上あったという。

 一部は鉄筋本数が増えていたケースもあったが、本数が減ったり鉄筋の間隔が広がったりしていた例が多かった。都は最終的な不整合の確定作業を急ぐとともに、GWG側に対し、建築基準法に基づく構造計算の再検証と報告を求めている。

 構造計画研究所は読売新聞の取材に、「都からこれまで指摘を受けた不整合の大半は、計画変更の手続きの中で修正され、解消されていると考えている。さらに指摘事項の精査を続けているが、一部に不整合があったことは事実で、これを真摯(しんし)に受け止め、社内で再発防止に全力で取り組んでいる。ただし自社検証の結果、建物の安全性に問題はないと認識している」と説明。同センターは、「不整合は本来あってはならないことで、内容を精査したい」と話している。東急建設とGWGは、「入居者説明会が終わるまで取材には応じられない」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080530-00000024-yom-soci