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2008年05月30日(金) 00時00分

逮捕時、包丁2本 自転車捨て逃走図る 石津容疑者朝日新聞

 大阪、京都両府警が総力を挙げて行方を追っていた石津淳容疑者(40)が、埼玉県上尾市で逮捕された。大阪府枚方市の殺人未遂事件から2週間余りの逃走劇。2本の包丁を手に、どこで何をしていたのか。「ほっとした」。警戒を続けてきた大阪や京都の事件現場付近の住民らは胸をなで下ろした。

   

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 30日午前1時ごろ、石津容疑者は、人通りのほとんど無い真っ暗な荒川河川敷のサイクリングロードを自転車で走っていた。パトロール中の同県警のパトカーがすれ違い、「止まりなさい」と指示すると走り去ろうとしたという。

 パトカーがUターンして追いかけると、自転車を捨てて土手を駆け上がろうとした。警察官2人が追いかけ、約200メートル先で取り押さえた。

 「石津です」

 名前を聞かれた石津容疑者はあっさりと本名を答えた。自転車の前かごに入っていた黒いポリ袋の中には、包丁が2本。京都市南区の強盗殺人未遂事件で奪ったとされる所持金約12万円はわずか数百円になっていた。

 警察官は顔のほくろなどから大阪府警が指名手配している石津容疑者と気づき、上尾署に任意同行した。抵抗することなく逮捕されたという。

 石津容疑者はえんじ色のリュックサックを持ち、京都事件で目撃された服装とは違う灰色の野球帽に黒いTシャツ、灰色のズボン姿だった。自転車については「盗んだ」と説明している。

 発見現場近くのゴルフ場の従業員(37)は「テレビで知って驚いた。金が無く刃物を持っていたので、次の犯行をする恐れがあったのではないか。お客さんがいる昼間でなくてよかった」と話した。

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 枚方市や京都市の事件現場近くでは、石津容疑者が潜んでいる可能性があるとして住民らが警戒を続けてきた。

 「また放課後に運動場で遊べると伝えたい」。京都市南区の同市立上鳥羽小学校の中野洋教頭は、そう言って胸をなで下ろした。付近で足取りが確認された京都府宇治市立木幡中学校の久保田正宏教頭は「ほっとした。生徒らには事件を機に安全に対する意識を高めてほしい」。

 枚方市の事件の被害者の少年(15)は「東京まで逃げたと聞いてもう捕まらないと思っていた。まだ傷が痛むし、絶対に許さない」と話した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805300041.html