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2008年05月29日(木) 00時00分

IXI粉飾決算容疑、前社長ら5人取り調べへ朝日新聞

 東証2部に上場していたソフトウエア開発会社「アイ・エックス・アイ」(IXI)=大阪市、清算手続き中=の前社長(49)らが架空の循環取引で売り上げを水増しする手口で決算を粉飾した疑いが強まり、大阪地検特捜部は29日にも、前社長ら5人を証券取引法(現・金融商品取引法)違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで取り調べる方針を固めた。証券取引等監視委員会と合同で前社長宅など関係先を家宅捜索する。

 ほか4人は元常務、元取締役、元執行役員、元社員。

 調べでは、前社長らはIT関連企業との間で、帳簿上の商品転売を繰り返して架空の売り上げを計上し、03年3月期の有価証券報告書に虚偽の売上高や経常利益などを記載。同年6月、近畿財務局に提出した疑いが持たれている。同期の売上高約55億円の約半額分が水増しだったとされる。IXIは翌04年3月、約23億円の増資を実施して東証2部への上場を果たしており、特捜部は前社長らが、株の時価総額などの上場基準を満たそうと決算を粉飾した疑いがあるとみている。

 関係者によると、当時の取引先として循環取引にかかわったのは、特捜部が04年に証取法違反の罪などで摘発し、社長の実刑が確定した情報システム開発会社「メディア・リンクス」や、同社との取引をめぐる背任罪で元部長らの有罪が確定した「伊藤忠テクノサイエンス」(現・伊藤忠テクノソリューションズ)など延べ約200社。前社長らは03年3月までの1年間だけで約70回の循環取引を繰り返したとされる。

 その後も米コンピューター大手「デル」の日本法人などIT企業を巻き込み、同様の取引を続けた。05年8月以降には「日本IBM」の支社が発注元で、IXIが代金支払いの債務を肩代わりするという取引をリース大手「東京リース」と締結。日本IBMに対する架空の転売益を計上した。この結果、02年3月期に25億円余りだった売上高は、06年3月期には約400億円に膨らんだ。この取引について、日本IBM広報は「元社員が正規の手続きを経ずに行ったもので、当社としては関与していない」としている。

 民間信用調査会社などによるとIXIは89年設立。06年3月時点の従業員は約100人。当初はソフト開発やシステム関連のコンサルティングで業績を伸ばし、02年3月に新興企業向け市場の大証ナスダック・ジャパン(現・ヘラクレス)に上場、その後東証2部に上場した。循環取引が発覚し、昨年1月、大阪地裁に民事再生法適用を申請した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805280092.html