記事登録
2008年05月29日(木) 00時00分

新作能など源氏づくし、平安神宮で「薪能」上演へ朝日新聞

 舞楽を競う典雅な宴を背景に、光源氏と藤壺のしのぶ恋を描く新作能「紅葉賀(もみじのが)」が、6月1日と2日、京都市左京区の平安神宮「京都薪能」で上演される。

「紅葉賀」のけいこより。舞台下は演出する千之丞=京都市の京都観世会館

 源氏物語千年紀を機に帆足正規・左鴻泰弘が書き下ろした。演出は大蔵流狂言の茂山千之丞。上皇の賀の祝いを前ににぎわう清涼殿で、帝の命により頭中将と共に「青海波」を舞った源氏は、藤壺に近寄ろうとするが思いとどまり、和歌を交わすだけで別れ行く。

 「藤壺への思いは源氏物語を貫く芯。そのエッセンスを、御所に見立てた平安神宮で視覚的にロマンチックに表現したい」と帆足。能の演出は初めてという千之丞は、「子どもの方が男女を超越した存在を表現できる」と帝を子方にする。「薪能の観客が求めるのは幽玄よりショー」との観点から、初夏の夜の華麗なページェントを目指す。

 光源氏を金剛流の金剛永謹、頭中将は観世流の片山清司と異流で務める。「流派によって成り立ちも表現も違う。2人で舞う『青海波』には“合わずに合う”楽しさがある」と永謹。清司は「思いの伝え方など、人間あまり進歩してへんのやな、と安心しつつ、源氏の世界を楽しみたい」と話す。

 他の演目も源氏づくし。1日は能「浮舟」「須磨源氏」、狂言「萩大名」。2日は能「夕顔」「葵上」に、“ほたる源氏”や“とうふの中将”が活躍する千之丞作・演出の新作狂言「おばんと光君」。午後5時半開演、3300円。雨天順延。事務局(075・761・4330)。

http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200805290055.html