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2008年05月29日(木) 20時54分

救済拡大の石綿新法改正案、与野党が合意 今国会成立へ朝日新聞

 石綿健康被害救済法(石綿新法)改正案をそれぞれ提案している自民、公明の与党と、民主党は29日、認定申請できないまま死亡した人の遺族も救済対象とし、一時金約300万円を支給することなどを柱とした法案に一本化することで合意した。改正案は週明けに衆院環境委員会で委員長が提案し、今国会で成立する見通し。

 現行法では、石綿が原因とされる中皮腫や肺がんで療養中の被害者に医療費(自己負担分)と手当▽06年3月の法施行前に死亡した住民の遺族に特別遺族弔慰金など(約300万円)▽法施行前に労災時効(死後5年)を迎えた労働者の遺族に特別遺族給付金(年間240万〜330万円の年金か一時金)——を支払う。

 だが、石綿を扱う職歴がない住民が死亡後に中皮腫などと判明しても、生前に申請していないため救済されない。石綿による健康被害が起きていた事業場の情報公開の遅れが指摘され、患者や遺族らから法の見直しを求める声が上がっていた。与党と民主党の案は申請期限などで隔たりがあり、協議を進めていた。

 新たな改正案では、(1)認定申請できず死亡した住民の遺族は、死後5年までに申請すれば特別遺族弔慰金などが支給される(2)療養中の患者には、申請の時点から医療費などを支給していたのを療養開始時にまで最長3年さかのぼって支給することとし、少なくとも300万円を支給する(3)法施行前の死亡や労災時効のケースでの申請期限を現行の「09年3月まで」から「12年3月まで」に延長する。

 さらに、法施行後に労災時効を迎える場合も、施行前に死亡していたケースでは特別遺族給付金を請求できる。それ以降の死亡労働者への対応は11年3月までに行う本格見直しで改めて検討する。

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