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2008年05月28日(水) 01時24分

スー・チーさんの軟禁延長を強行 ミャンマー軍政朝日新聞

 【バンコク=山本大輔】ミャンマー(ビルマ)軍事政権は27日、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん(62)に対し、自宅軟禁の延長を通告した。軍政筋が明らかにした。サイクロン被害では「政治と切り離した純粋な援助」を各国に要請する一方で、国際社会が同国の政治で最も問題視するスー・チーさん軟禁の継続を強行した。

 延長期間について軍政筋は半年と話したが、外交筋は1年の情報もあるとしている。

 軍政は26日、「民政移管」への憲法案が国民投票で圧倒的に承認されたと発表したばかり。スー・チーさんをヤンゴンの自宅に軟禁し続けることで、独自の「民主化プロセス」からスー・チーさんを排除する姿勢を改めて示した。

 スー・チーさんは89年から3回にわたり通算13年近く、軍政に拘束・自宅軟禁されている。3回目となる現在の自宅軟禁は03年に始まり、半年や1年の延長が続いてきた。

 軍政が軟禁の法的根拠としている国家防御法では、裁判なしの行動制限の期限を5年と定めている。専門家らによると、スー・チーさんは03年5月の拘束後、一時は病気治療で入院するなどしたため、実際に自宅軟禁が始まった03年秋から5年となる今秋が解放期限となる可能性が高い。

 もし1年の延長となれば、5年の法的期限を自ら無視する形になる。

 27日は、スー・チーさん率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した90年の総選挙からちょうど18年。NLDはヤンゴンの本部で集会を開き、「民主主義と人権の促進へ断固たる姿勢で挑んできたスー・チー書記長の無条件かつ即時解放を求める」などとする声明を読み上げた。

 当局は治安部隊をスー・チーさん宅とNLD本部周辺に動員して厳戒態勢を敷き、軟禁解除を求めて行進したNLD関係者15人を拘束した。

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 〈ミャンマー軍事政権〉 軍人による政治支配は62年から続く。現在の軍政は88年のクーデター後に総選挙の実施を公約する一方、翌89年にスー・チーさんを自宅軟禁した。90年の総選挙でスー・チーさん率いる国民民主連盟が圧勝したが、軍政は選挙結果を拒否。民主化運動家らの拘束や自宅軟禁を繰り返している。昨年8月に始まった僧侶や市民のデモも武力で鎮圧した。

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