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2008年05月28日(水) 13時08分

対アフリカ最大40億ドル、首相が表明 TICAD開幕朝日新聞

 日本主導でアフリカ支援のあり方を話し合う第4回アフリカ開発会議(TICAD)が28日、横浜市で始まった。福田首相は基調演説で、成長を加速するため、アフリカ向け途上国援助(ODA)の倍増、最大40億ドル(約4200億円)の社会基盤(インフラ)整備などを軸とする日本の支援策を発表した。

横浜市で28日、第4回アフリカ開発会議が開幕し、記念撮影する福田首相(前列中央)ら=ロイター

 演説で福田首相は、「『アフリカ成長の世紀』という新しいページを開こうとしている。アフリカはこの先、世界の成長に力強いエンジンとなる」と、資源高騰などを背景に経済成長を始めたアフリカを積極支援する意向を表明。「成長が勢いを増していくために何より重要なのはインフラの充実だ」と述べ、交通インフラ整備などに今後5年で最大40億ドルの円借款を提供する意向を表明した。アフリカ向けODA(債務救済を除き現在約1千億円規模)は、円借款や無償資金協力の「新規分」を段階的に拡大。12年には2千億円規模に倍増する。

 食糧高騰問題については「現状には深い憂慮を覚えざるを得ない」と表明。4月に打ち出した1億ドル(104億円)の緊急支援の「相当部分をアフリカに向ける」ことを約束したほか、アフリカでのコメ生産高を「10年間で倍増させていく」と呼びかけた。

 7月の北海道洞爺湖サミットの主要議題となる地球温暖化問題では、温室効果ガスの排出削減に取り組む途上国支援のために創設した総額100億ドル(約1兆円)規模の資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」を「アフリカ全土に広めていきたい」と表明。技術や資金提供にも積極的な姿勢を示した。

 福田首相は「アフリカの平和の定着と構築に、『平和協力国家』としてもっと力を注いでいく」とも語り、「国連改革」の必要性を強調。国連の大票田アフリカ諸国に対し、安保理常任理事国入りへの支持を求めた。

 アフリカ諸国側からは、こうした日本の取り組みについて「経済成長の加速化につながる」(南アフリカのムベキ大統領)、「日本がTICADで発揮したイニシアチブはアジアの国に広がり、中国、韓国もアフリカへの関心を高めている」(ガボンのボンゴ大統領)と好意的に受け止める声が相次いだ。北海道洞爺湖サミット議長国を務める日本に対し「アフリカの声となって、G8各国にアフリカの意見を伝えてほしい」(アンゴラのサントス首相)と要望する意見も出た。一方で、「民間企業が進出できるよう日本政府が支援し、企業側もリスクをとることが必要だ」(アフリカ連合議長国のタンザニアのキクウェテ大統領)との注文もあった。

 会議には、アフリカ52カ国の首脳、閣僚、国際機関の代表らが出席。日本政府は、30日までの議論で、食糧危機対策や温暖化対策でアフリカ諸国の支持をとりつけ、サミットでの合意形成に反映させたい考えだ。(金子桂一、南島信也)

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