記事登録
2008年05月28日(水) 14時31分

<船場吉兆>「断腸の思いで廃業」佐知子氏、今度ははっきり謝罪毎日新聞

 牛肉産地偽装事件で大阪府警が捜査している料亭「船場吉兆」(大阪市中央区、民事再生手続き中)は28日、再建を断念し廃業すると発表した。昨年10月以降、食品の表示偽装などが次々と発覚。今年1月、女将(おかみ)の湯木佐知子氏(71)を新社長として経営陣を一新し、本店の営業を再開していた。しかし、今月になって、客が残した料理を別の客に回していた問題が明らかになり、客足が遠のいていた。

 女将の佐知子社長らが28日午後1時から、大阪市内で発表した。会見の冒頭、佐知子社長は「この度は申し訳ありません。本日、断腸の思いで廃業します」と述べた。同社は同日から営業を停止。代理人弁護士によると、使い回しの発覚以降、売り上げが半減し、全く客が入らない日もあり、予約も数えるほどだった。吉兆グループ各社からの支援も得られず、今後も売り上げが回復する見込みはないと判断したという。

 府警は昨年11月、佐賀、鹿児島両県産牛肉を但馬牛などと偽装したとする不正競争防止法違反容疑で家宅捜索。現在、佐知子社長の夫の湯木正徳前社長(74)と長男の喜久郎前取締役(45)らの書類送検に向け、詰めの捜査を進めている。

 船場吉兆は「本吉兆」「神戸吉兆」「京都吉兆」「東京吉兆」とともに「吉兆グループ」を構成。グループは1930年、後に料理界として初の文化功労者となる湯木貞一氏(故人)が30歳の時に大阪・新町(大阪市西区)に開いた「吉兆」が原点。戦後、1男4女に“のれん分け”した。船場吉兆の佐知子社長は貞一氏の三女。【久木田照子】

【関連記事】 船場吉兆:不祥事続き、客の信頼取り戻せず/廃業決定に「寂しいが当然」
【関連記事】 船場吉兆:廃業へ 売り上げ半減、グループ支援も得られず
【関連記事】 船場吉兆:料理使い回し 地に落ちたブランド、次から次へとウミ
【関連記事】 船場吉兆:アユは二度揚げ、刺身のツマは洗う……使いまわし手口明らかに
【関連記事】 訃報:湯木昭二朗さん 80歳 死去=前東京吉兆社長

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080528-00000015-maiall-soci