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2008年05月28日(水) 13時32分

官房長官会見「ある意味では『未知との遭遇』」消費者庁新設産経新聞

 町村信孝官房長官は28日午前の記者会見で、消費者庁新設に向けた所管法律移管など政府内の調整が続いていることに絡み「ここ最近、新たな組織を立ち上げ法律、定員、予算を相当規模で持っていかれてしまった経験をした役所は例がない。ある意味じゃ『未知との遭遇』みたいなところがあり、なかなか各省庁も大変なんだろうなと思う」と述べた。
 会見の詳細は以下の通り。
【アフリカ開発会議、公務員制度改革基本法案】
 「福田総理は昨日、(アフリカ開発会議参加国のうち)16カ国とのバイ会談(2国間会談)をこなされました。今日は(午前)8時半から開会式で演説をされました。演説の内容は、公表されているだろうと思います。今日は首脳級の昼食会を主催するほか、14カ国とのバイ会談を精力的に行っておられるところでございます。以上でございます。なお、公務員制度改革基本法案について、自民党、民主党、公明党の幹事長・国対委員長会談が今日開催されたようでございまして、午前中、朝ですね。衆議院で修正し、これを今国会の衆参本会議で可決のうえ成立させることで合意をされたということでございまして、大変にいい合意をつくっていただいたなあと、こう思っております。以上であります」
【消費者庁】
−−町村長官は先ほど、岸田文雄消費者行政推進担当相と会っていたが、消費者庁についての閣僚折衝の経過を聞いたのか
 「はい。折衝状況の報告を受けたところであります」
−−官房長官を含めた調整のスケジュールはどうか
 「まだスケジュールは確定しているわけではございませんが、まだ岸田大臣も全大臣とお会いになったわけではないですから、まずそれをやっていただき、事務的な詰めも猛烈にやってもらう。まあそれを受けたところで、今週あるいは来週、私も必要あれば関係大臣と会って調整をしていきたいと。いい消費者庁ができるようにですね、全力を尽くしてまいりたいと思います」
−−閣僚によっては、所管する法律や職員を消費者庁に移したら逆に機能しなくなるのではないか、という人もいるが
 「あのー、何回目かの消費者の会議でですね、総理のほうから、効率的な組織でなければいけない、という話があったと確か記憶しておりますので、この行革の時代の折に巨大官庁を作るつもりはありません。ただ、法律の企画・立案・実施に必要な体制は作らなければいけないとこう思っております。まあここ最近ですね、省庁再編成みたいな姿で、例えば文部省と科学技術庁が合体をするというようなケースはありましたけれども、新たな組織を立ち上げて、そこに法律、定員、予算を相当規模でもってくるという、逆に言うと持ってこられたというか、持っていかれてしまったというんでしょうかね。そういう経験をした役所っていうのは、最近ないんですね、例がね。新しく新設した環境庁、環境省というのがあって、それから国土庁も…だいぶ前のことですけどね、国土庁というものがあったりしました。この辺が大きな役所の新設ですよね。でも国土庁の場合だって結局、当時の経済企画庁の立地部分みたいなのを中心に、新しい役所を、ポストをとか、土地局とかですね、いろんな局を作ったりして、基本的に、どこかの役所からすとーんと持ってくというのは、建設省のある部分を一部を持ってったことはありますけども、あんまりそういう経験はないんですねえ。まあ従って、ある意味じゃあ未知。未知との遭遇みたいなところがあるもんですから、まあなかなか各省庁もそこは、大変なんだろうなと思います。まあ総理の高い方針を各省庁、各大臣それぞれ理解して協力をしていただけるものと思っています」
【予備費】
−−今朝の参院本会議で、平成18年度のイラク支援にかかる予備費が否決された。予備費は事後の国会の同意が必要だと憲法上規定されているが、政府の見解と、今後の対応は
 「あの、午前11時に、総理大臣談話が張り出しになっておりますから、それをごらんをいただきたいと思いますけれども、まあ、参議院の承諾が得られなかったのは誠に遺憾であると。政府としては今後とも、予備費の適正な使用に努めてまいりますと、こういう趣旨の総理談話が出されておりまして、予備費の使用は、すでに支出をされておりますし、今回の不承諾というものが、現実の支出の行為に対して法律上の効果に影響を及ぼすものではないということであります」
−−1989年にも同じ事態があったそうだが、そのときには官房長官の…
 「総理大臣談話です、はい」
【自殺対策】
−−10年連続で自殺者が年間3万人を超えることがほぼ確実になった。政府は対策大綱を示しているが効果を上げていない。今後、どのような方針で臨むか
 「大変残念な事態が進行しているなと思って心を痛めているところであります。自殺総合対策大綱というのを昨年の6月に閣議決定をしておりますが、それによりますと、10年間で自殺率を2割以上減らしたいということにして、施策をしておりますが、先般も硫化水素の作り方といたようなインターネットのサイトが、まったく事細かに書いてあるんですね。私も見ましたけどあぜんとしました。こういうものがまかり通っている。それはいくら何でも、表現の自由があるとか、いろいろな自由があると言ったって、自由の裏には責任があるわけですからね。こういうものを野放しにしてはいけないということを含めて私自身がその自殺総合対策会議の会長でありますので、大綱の見直しを先週指示いたしました。岸田大臣の下に有識者からなる自殺対策推進会議というものを開催してもらいまして、そうした硫化水素の事案とか、あるいはネット対策等11項目についてどういう施策が必要であるかということを大至急に議論を進めていただき、結論をいただきたいと、こう思って取り組んでいるところであります。ぜひみなさんも、もうネットに載っていないかもしれませんが、驚くべき硫化水素の作り方などといういわば自殺の勧めのようなものが載っているというのは、本当にとんでもないことだと私は思いますね」
−−推進会議というのは設置されて実際に議論が始まっているのか
「はい。詳しくはどうぞ岸田大臣の方へ聞いていただければと思います」

−−いつごろの対策の見直しを
「それはちょっとまだ、岸田大臣の方でいろんな段取りあって、その後は聞いておりませんけど」
【NHK職員インサイダー取引】
−−NHK職員によるインサイダー取引事件で、第三者委員会が調査報告書を提出した。勤務時間中に株取引を行った職員が少なくとも81人に上るという内容。この感想と、政府として対応を考えることがあるのか
「まあちょっと私も詳しい状況をよく知らないので、報道以上のことはわかっておりませんが、まあ増田総務相が担当でいらっしゃいますので、NHKの会長さんなどと相談をして、しかるべき政府の対応というのはお考えになるのかなあと、こう思います。まあとにかく、勤務時間中にですね、株の売買をやっていたっていうことですか? まあ、正直言ってあぜんとしますね。そんなに暇なのかなあと、NHKというのはねえ。番記者は忙しそうにしてるのにねえ。暇な職員もいるんだなあということに驚きを感じますし、また、やっぱり、メディアという立場でね、普通の人では知り得ない情報というものに接するチャンスが多くあるんだろうなあと思います。だとすれば、それによってまた、普通では得られることのできない利益を得てしまうこともありうるんだろうと思います。いずれにしてもNHKも新体制ができて、新会長のもとで新たな船出をしているわけでございますから、この際、徹底的にこうした膿を出してもらうように、新会長のリーダーシップにも期待をしたいと思います」

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