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2008年05月28日(水) 17時01分

川田アナ、最後の番組は「自殺名所ルポ」夕刊フジ

 26日、乗用車内で自殺したフリーアナウンサー、川田亜子さん(享年29)。自ら命を絶つ2日前にレギュラー司会者として生出演していた最後の番組『サタデースクランブル』(テレビ朝日系)では、くしくも自殺をテーマにした特集が組まれていた。自身のブログで心身の不調を明かしていた川田さんは、どんな心境だったのか。

 特集は、火山洞窟学会の立原弘会長の案内で、取材スタッフが「自殺の名所」で知られる富士山の青木ヶ原樹海をルポするという内容。録画で紹介された。

 自殺者とみられる男性の遺体のボカシつき映像や、樹海付近にいた60代の自殺志願者の悩みをディレクターと立原会長が聞き、必死の説得で自殺を思い止まらせる模様が映し出された。

 スタジオでは、テレ朝の松井康真アナと川田さんは、このルポについてコメントせず、動揺した様子もなかった。ただ、画面からは、川田さんがどことなく悲しそうな表情を見せる様子がうかがえた。

 この日の放送の前から、川田さんは自身のブログで「一番苦痛です」「いまはせつないです」などと悩みを吐露していた。そんな矢先の自殺特集。心理的な影響はなかったのか。

 精神科医の和田秀樹氏は「自殺を抑止しようという善意に基づく報道であっても、自殺を誘発する可能性はある」と指摘する。

 「川田さんは少なくともうつ病だったと思う。うつ病は人間の認知構造が変わり、物の見方がワンパターンになる病。生きていても仕方がないと思って、もともと自殺願望がなかった人でも、急に死にたくなることはあり得ます。人口の3%がうつ病で、その10分の1は自殺しようとした経験があり、さらにその10分の1が本当に自殺してしまっているという統計もある」

 番組で、コメンテーターの大澤孝征弁護士は「(自殺の)サインを見つけたら、手を差し伸べて」と呼びかけていたが、川田さんのサインは誰も気付けなかったのか。

 自殺の翌日の27日、定例会見を行ったテレ朝の君和田正夫社長は「大変痛ましい出来事」と、沈痛な面持ちで語った。

 同席した編成制作担当の上松道夫取締役の説明によると、川田さんは今月に入ってから、スタッフの目には疲れているように見えたというが、24日の放送では元気な様子で、番組プロデューサーとも後日食事する約束をしていたという。

 川田さんは番組中、環境問題をテーマに米俳優、ハリソン・フォードさんが出演したCMと、お笑いタレント、小島よしおさんのギャグを引っかけたデーブ・スペクター氏の「そんなの環境ない」というダジャレにも笑っていた。

 だが、その笑顔ももう見られなくなってしまった。

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