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2008年05月28日(水) 03時02分

NHK、勤務中の株取引81人 3年で最多5000回朝日新聞

 今年1月に発覚したNHK記者ら3人によるインサイダー取引問題で、NHKの第三者委員会(委員長・久保利英明弁護士)は27日、調査結果を公表した。新たな不正取引は特定できなかったが、関連団体を含む1万3千人余りへの調査で、休憩時間を含む勤務時間中に株取引をしていた職員が、NHKの内部調査で判明した3人を大きく上回る81人にのぼることが分かった。

 調査報告書によると、今回の調査対象になった今年1月までの3年間に株取引をした役職員らのうち、証券会社から取引履歴を取り寄せた調査に協力した者は計1447人。最多は5137回の取引をしており、単純計算で1日平均7回以上の取引をしていたことになる。2番目は2630回、3番目2252回、4番目2207回と続く。取引の回数が多かった上位100人のうち、記事の出稿や編集をする情報端末へは3番目と4番目の職員を始め計53人にアクセス権があり、記者パソコンの貸与者は2人だった。ただ同委への委任状提出を拒むなどした計943人には詳しい調査が出来なかった。

 株を売買した日かその前日に、当該銘柄に関する情報や原稿が局内の報道情報端末に載っていた「近接取引」が95取引あったことも判明。うち11取引は勤務時間内と見られるが、同委はいずれも「報道情報端末の情報を利用した株取引とは認められなかった」とした。

 一方で、インサイダー取引をして懲戒免職になった3人については、問題の取引以外にも、報道情報端末を利用したりするなど職務上知り得た情報によるとみられる取引が22件あったという。例えば、地方勤務だった元職員は昨年1月29日、4回にわたって「築地魚市場」株を計2万9千株、信用売りしていた。最初の取引の約1時間半前に「築地の業者がふぐの無許可販売」というタイトルの原稿が報道情報端末に出稿されていた。

 会見した久保利委員長は、NHKの体質について「プロ意識があまりに低い」と述べた。

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http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200805270417.html