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2008年05月28日(水) 00時00分

廃業の船場吉兆社長、涙ぬぐい「営業続けられない」朝日新聞

 廃業を決めた船場吉兆は、28日午後1時から佐知子社長と代理人の米田秀実弁護士らが大阪市内のホテルで記者会見した。佐知子社長は伏し目がちに会見席まで歩き、冒頭、深々と頭を下げた。用意した「ご報告」と題したA4判の1枚の紙を小さな声で読み上げ、「お客様、関係取引先、社会の皆様に大変なご迷惑をおかけし、食品の安全、安心に対する信頼を裏切ったことを心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

廃業を発表し、謝罪あいさつのあと涙をぬぐう湯木佐知子社長=28日午後1時5分、大阪市中央区、溝脇正撮影

 佐知子社長は偽装表示で引責辞任した正徳前社長(74)に代わり、今年1月に社長に就任。料理や食材の使い回し発覚を受けて釈明に追われた。今月7日、本店前で報道陣に答え、「手つかずの料理を食べ残しと表現するのはニュアンスが違うと思う」と話していた。

 しかし、この日の会見では「食に携わる者に、あるまじき行為であり、改めて深く心からおわび申し上げます。もはや吉兆というのれんを用いて営業することは、社会的にも許されない」と語り、吉兆の名称を「自主的に返上させていただくことにした」と述べた。時折言葉に詰まり、すべて読み上げた後、めがねを外して涙をぬぐった。

 佐知子社長は廃業に追い込まれた理由について、「使い回しが大きく影響した。客の予約状況が半分から3分の1まで減った。世間をお騒がせして、これ以上営業を続けられない」と声を詰まらせた。

 記者会見した米田弁護士によると、今年1月に営業再開後は前年と同程度かそれ以上の客が来て順調だった。しかし、今月2日に使い回しの問題が発覚してからは、それまでの半分以下の売り上げになったという。使い回しに対し、全従業員へのアンケートを無記名で実施し、これまでに明らかになっていない食べ物の使い回しの申告もあったという。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805280037.html