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2008年05月27日(火) 01時12分

雇用保険の国庫負担廃止提言へ 財政審が建議原案朝日新聞

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月上旬にまとめる意見書(建議)の原案の概要がわかった。雇用保険の国庫負担について廃止を提言するほか、医療や介護、教育など各分野で高まる歳出増の圧力を牽制(けんせい)。公的年金も「給付に見合った安定財源の確保」の必要性を指摘し、消費増税の議論を進めるよう求めている。

 意見書の原案は、財政審が23日の非公開会合で固めた。財務省は提言内容を、政府が6月中にまとめる「骨太の方針08」にできるだけ反映させたい考えだ。

 原案は今後の財政運営については、2011年度に基礎的財政収支を黒字化させる財政再建目標の堅持と、「骨太の方針06」に沿って各分野の歳出削減を進める必要性を強調。歳入面では、「埋蔵金」と呼ばれる特別会計の積立金などの活用に否定的な見方を示す一方、社会保障の財源確保のために「消費税を含む税体系の抜本的改革」に向けた取り組みを求めた。

 具体的な歳出削減策は、社会保障分野が中心。大幅な黒字基調が続く雇用保険では「現状を踏まえてさらに見直すべきだ」とし、「国庫負担の廃止を含めた検討」を求めた。年内に制度改革が予定される介護保険については、重度の要介護者の増加と保険料引き上げが見込まれることを指摘。「利用者負担や給付範囲の見直しを含め、検討を深める必要がある」とした。

 文部科学省が大幅な予算増額を求めている教育分野では、中期的な政策目標を「予算の投入量」から「成果」に転換することや、大学予算の配分見直しを提言した。(五郎丸健一)

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