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2008年05月27日(火) 20時50分

「戦略的協力」で合意 胡主席、年内訪韓 中韓首脳会談朝日新聞

 【北京=牧野愛博】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は27日、国賓として訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した。両国は92年の国交樹立以来、最も緊密な関係と位置づける「戦略的協力関係」を結ぶことで合意。2月の李政権発足以来、日米韓の関係強化や、北京五輪聖火リレーを巡る混乱などで一時ぎくしゃくしていた両国関係の修復に踏み出した。

 李大統領は会談後の共同記者会見で、戦略的協力関係への格上げについて「未来に向けた新たな歴史的出発だ。外交、安保、経済など様々な分野で協力を強化する」と語った。胡主席の年内訪韓でも合意。韓国政府高官は中国について「同盟相手ではないが、全領域で苦楽を共にする国」と述べ、日本と同様のレベルで重視する考えを示した。

 複数の韓国政府関係者によると、「実用外交」を掲げる李大統領が会談で具体的な成果を得るよう指示。4月の訪米・訪日後、米国産牛肉輸入や竹島(韓国名・独島)領有を巡る問題で国民の批判を浴び、支持率も2割台に低迷している李大統領が、中国との関係強化に踏み切ることで求心力の回復を狙った。

 4月に北京五輪の聖火リレーがソウルを走った際、中国人留学生が韓国人に暴行を働いたとして韓国の対中世論が悪化。中国でもインターネットの掲示板などで韓国批判が相次いだ。しかし、中国・四川大地震の発生後、李大統領は22日に急きょ在韓中国大使館を弔問したほか、この日も記者会見で地震被害者への哀悼をまず表明するなど、中国への配慮を示した。

 一方の中国は、韓国に10年ぶりに誕生した保守政権を警戒。政権発足直前の1月に訪韓した王毅(ワン・イー)外務次官が「中国との関係をおろそかにするわけではない、という言葉を直接聞きたい」と韓国側を牽制(けんせい)していたが、この日の記者会見で李大統領から「国賓としての最初の訪問国が中国だ」との発言を引き出すなど、韓国の日米傾斜に一定の歯止めをかけることに成功した。

 中国が締結に意欲を見せる中韓自由貿易協定(FTA)交渉についても両首脳は「相互利益になる方向で積極的に検討する」ことで合意した。韓国は当初、影響を受ける国内農家や消費者の反発を懸念し、言及を避けるよう調整を試みたが、結局、中国側に押し切られた。

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