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2008年05月27日(火) 00時00分

橋下知事「府債発行ゼロ」の原則、退職手当債が焦点に朝日新聞

 大阪府の橋下徹知事が進める1100億円の財政再建をめぐり、退職金支給のための退職手当債の扱いが焦点になっている。最大270億円の発行が可能で、事業費削減を抑制したい議会は「退職手当債も収入のうち」と要求。ただ、橋下知事は「府債発行ゼロ」の原則を掲げており、判断が注目される。

  

 「PT(プロジェクトチーム)案では退職手当債を見込んでいないが、最終的に判断していきます」。26日の府議会で橋下知事はこう答弁。質問した自民党の浅田均府議は「退職手当債を出すと解釈していいだろう。あとは額の問題だ」と受け止めた。

 退職手当債は、退職金を支給するための財源として、地方財政法で発行が認められた地方債の一つ。団塊世代の大量退職期を迎えたため、06年度から10年間の特例措置として定年退職者の分も対象に起債が認められている。

 だが、橋下知事は当選直後から「収入の範囲内で予算編成する」との方針を掲げ、「府債発行ゼロ」との原則を打ち出してきた。このため、2月議会で成立した暫定予算案では、今年度に発行を予定していた退職手当債270億円の計上を見送っている。

 こうした中、府議会の主要会派は対案などで退職手当債の発行を要求。予算上、起債は歳入とされるため、1100億円の財政再建案で「収入」が増えれば、事業費の削減額を減らせるからだ。

 橋下知事も14日の記者会見で「民間の感覚では認められない」としながらも、「退職金のコストを平準化するには退職手当債しかない」と踏み込んだ発言をしている。

 議会には「必要な事業を残すために借金をするという説明なら理解される」(自民府議)との声もあるが、府幹部は「知事は起債をしないと宣言してしまった。府民が納得できる説明をしないといけない」と不安顔だ。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805270096.html