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2008年05月26日(月) 00時00分

町職員のボランティア活動、管理職が態度評価朝日新聞

 奈良県王寺町が、全職員を対象に月1回実施している清掃ボランティア活動で、管理職が出欠を確認し、取り組み態度を5段階で評価している。町は「人事考課には反映していない。職員のやる気を引き出すのが狙い」としているが、職員からは「強制的なボランティア。これでは実質的な時間外勤務」と不満の声も出ている。

 町によると、ボランティア活動は、植田忠行町長が93年に初当選後、「水と緑と人が共生する生活都市の創造」の方針に沿って94年に始めた。アルバイトや嘱託職員を含む全職員約200人が対象。毎月第2土曜の午前9〜11時(雨天中止)に、所属部ごとに分かれて川や公園でゴミ拾いなどをしている。毎回ほぼ全員が参加している。

 活動後、各課の課長級職員が参加職員の氏名や取り組み態度を5点満点で定型の用紙に記入し、総務課人事係(今年4月からは住民課)に提出。評価は「他の模範となる」(5点)、「もう少し意欲的に」(3点)、「大変問題がある」(1点)など。参加した場合はほとんど5点が付くといい、形式的に参加する職員もいるという。

 東和徳・町住民福祉部長は「公務員は全体の奉仕者。町内をきれいにしようという町の方針の下にやっている活動だ。出欠を取ることも、評価をつけることも職員に伝えているが、人事考課とは無関係。あくまでやる気を出してもらうのが目的で、参加も強制ではない」と話す。

 ある町職員は「参加しなければ『勤務態度が悪い』とされ出世の道は断たれる。その日に用事は入れられないし、嫌々でも参加せざるをえない」と打ち明ける。

 出欠などを取るボランティア制度について、総務省や全日本自治団体労働組合(自治労)は「聞いたことがない」としている。

 公務員の労働問題に詳しい尾林芳匡弁護士(東京弁護士会)は「そもそもボランティアは善意でやるもの。出欠や点数をつけるのはおかしいし、休日出勤するのであれば労働の対価として賃金を支払うべきだ」と指摘する。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805260036.html