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2008年05月26日(月) 00時45分

レバノン大統領にスレイマン国軍司令官を選出朝日新聞

 【カイロ=田井中雅人】レバノン国会は25日、ラフード前大統領の任期が切れた昨年11月以来、6カ月間にわたり不在が続いていた大統領に、ミシェル・スレイマン国軍司令官(59)を選出した。米国が支援する与党とシリア、イランが支援する野党との対立から生まれた政治空白が解消され、内戦再燃の危機もひとまず収束する見通しだ。

ミシェル・スレイマン氏=ロイター

 今月初めに与野党支持者ら80人以上が死亡した首都ベイルートでの市街戦を受け、与野党代表らが仲介国カタールで緊急協議。21日に危機打開で合意し、スレイマン氏選出が決まった。25日に大統領に就任。任期は6年。

 スレイマン氏は昨年、北部のパレスチナ難民キャンプ周辺で起きた武装組織ファタハ・イスラムとの戦闘で国軍を勝利に導き、国民的人気が高まった。ラフード氏の後継として浮上した当初、反シリアの与党側は「シリア寄り」とみて難色を示したが、与野党対立が続くなかスレイマン氏が中立姿勢を維持したため方針転換。双方が折り合える候補として白羽の矢が立った。

 当面の課題は、新首相指名や挙国一致内閣づくりだ。

 憲法によると、重要な決定には内閣の3分の2以上の承認が必要。カタールでの合意では、閣僚ポスト30のうち与党16、野党11、大統領任命枠3の配分が決まっている。イスラム教シーア派組織ヒズボラを中心とする野党が事実上の拒否権を握ることになるため、難しい国政運営を迫られそうだ。

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