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2008年05月26日(月) 00時00分

小中高生473人に目のかゆみ 農薬散布の影響か 島根朝日新聞

 26日午前9時半ごろ、島根県出雲市の市立浜山中学校から市教委に「生徒87人が目のかゆみや充血を訴えている」と連絡があった。市教委が周辺の小、中、高校に問い合わせたところ、午後3時半現在で計15校の473人が症状を訴え、うち154人が医療機関で受診。一時、視野が狭くなる症状を訴えた中学2年生の男子生徒1人が経過観察のため入院した。

 出雲市は同日早朝、松食い虫対策の有機リン系農薬を市内の約350ヘクタールで空中散布していたが、入院した中学生を診察した医師は「有機リン中毒に特有の症状はみられない」と話している。また、近隣住民や教員からは同様の症状の訴えはないという。

 記者会見した西尾理弘(まさひろ)市長は「空中散布との因果関係がないとは断言できない。診断した医師の見解を確認しながら原因を究明したい」と話した。市は27日から29日まで予定していた農薬散布を中止した。

 症状を訴えた児童・生徒がいる学校のほとんどは、JR出雲市駅や出雲大社周辺を含む東西約7キロ、南北約5キロの範囲に集まる。市教委は周辺の小、中、高校に屋外の授業を中止するよう指示した。

 空中散布は午前5時20分から約3時間にわたり、ヘリコプター2機で実施。有機リン系のフェニトロチオンを点在する松林の上空約5メートルから散布するなどした。松江地方気象台によると、出雲市の26日午前5時から8時の風速は0〜1メートルだった。

 林野庁森林保護対策室によると、森林への空中散布が原因で大規模な人数が目のかゆみなどの症状を訴えた例は過去に把握していないという。

http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200805260073.html