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2008年05月26日(月) 09時22分

「ロコ・ロンドン」初の摘発 福岡の先物会社 捜索へ 金取引 虚偽説明の疑い 県警など西日本新聞

 福岡市博多区の海外先物取引会社が、金の保証金取引「ロコ・ロンドン金取引」で「絶対もうかる」と虚偽の説明を行って、高齢者と契約を結んだとして、福岡、熊本、山口の3県警は26日にも、特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで、同社や東京都内の関係先など約10カ所の家宅捜索に乗り出す。ロコ・ロンドン金取引は多数の業者が手掛けているが、投機性が高く、多額の損失を被ったとの被害相談が全国で相次いでいる。昨年7月に同法の規制対象となって以降、強制捜査は初めて。

 同社は2006年10月に設立。九州・山口の高齢者を中心にロコ・ロンドン金取引の投資話を持ち掛けていたとみられる。3県警の調べでは、同社の社員らは、福岡、山口両県の高齢者2人に「金相場が上がっているので、絶対もうかる」とうそを言い、リスクを十分説明せずに勧誘して、それぞれに数百万円を投資させる契約を結んだ疑いが持たれている。

 福岡県内の高齢者はその後契約を解除し、預けていた保証金は利息も含めて返還されたが、山口県の高齢者は現金が戻らないままだという。

 3県警は、同社が顧客から保証金を集めただけで、実際には金の取引を行っていない可能性もあるとみて調べを進める。

 国民生活センター(東京)によると、ロコ・ロンドン金取引を含む「非規制海外先物取引」に関する相談は、07年度に594件寄せられ、2年前に比べて約5倍に急増。06年後半からはロコ・ロンドン金取引に関する相談が目立ち「サブプライムローン問題で金が値上がりしている」「今なら必ずもうかる」などと言葉巧みに誘われ、預貯金を失う高齢者も多いという。

 九州各県の消費生活センターにも、同取引に関する相談が06年度以降少なくとも計40件寄せられた。

 経済産業省は「リスクの説明を受けていない場合は契約をしないで」と注意を呼びかけるとともに、取引業者の規制強化を検討している。

=2008/05/26付 西日本新聞朝刊=

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