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2008年05月24日(土) 00時00分

四川大地震、「想像超える惨状」 大阪の看護師語る朝日新聞

 「どこもかしこもがれきの山。想像を超える規模の惨状だった」。大地震が起きた中国四川省に派遣された国際緊急援助隊のメンバーで、済生会千里病院救命救急センター(大阪府吹田市)の看護師、谷暢子(まさこ)さん(36)=大阪市中央区=が24日、現地での活動を語った。

中学校の校舎が倒壊した現場で、活動の準備をする谷暢子さん=18日、四川省北川

 救助活動の現場となった中学校のつぶれた校舎では、少女の腐敗しかかった手が外からでも見えた。谷さんの仕事は裏方役。生存者を救出する隊員の健康管理にあたる。あまりの惨状を前に、休憩に戻ってくると、うなだれたまま座りこんでしまう隊員もいたという。「出動が遅れた時点で覚悟していたとはいえ、多くの遺体と接するのは隊員にとっても大きな負担。心のケアが、衛生面以上に大変な現場でした」と振り返る。

 救助隊としての課題も見えた。「都市型災害に威力を発する日本隊の強みが発揮できずに、移動で大切な時間を費やしてしまった。相手国とのより綿密な連携の重要性を改めて感じました」

 結局、生存者の救出はかなわなかったが、現地ボランティアには、すれ違うたびに片言の日本語で「ありがとう」と声をかけられた。「あの笑顔だけで救われました」。99年のコロンビア地震、04年のスマトラ沖大地震、05年のパキスタン地震でも救助隊に加わった谷さん。「自分が役に立てる場所があれば、今後もどこの国でも駆けつけたい」と語った。(池田孝昭)

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805240042.html