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2008年05月24日(土) 00時00分

最古級の荘園絵図見つかる、「国宝級」か朝日新聞

 江戸時代後期に東大寺(奈良市)から外部へ流出した奈良時代中期の絵図が見つかり、奈良国立博物館は24日、古美術商から買い取ったことを明らかにした。東大寺が所有していた荘園の利用状況が描かれた国内最古級の荘園絵図で状態も良く、奈良博は「国宝級」と評価している。

見つかった奈良時代中期の東大寺荘園絵図「越中国射水郡鳴戸村墾田図」=奈良国立博物館提供

 現在の富山県高岡市付近を描いた「越中国射水(いみず)郡鳴戸村墾田図」(麻布製、縦77センチ、横141センチ)。「条里」と呼ばれる区画ごとに田の状況などが書かれ、東大寺の荘園約60ヘクタールは朱色の線で囲ってある。左端には造東大寺司や東大寺僧、越中国司の署名、「天平宝字三年(759年)」の年号がある。

 東大寺が保存していた同時期の荘園絵図19点のうちの1点で、所有者は不明だった。越前(福井県)や近江(滋賀県)などの荘園が描かれた他の18点は正倉院宝物になっている。奈良博が今回見つかった絵図にある「越中国印」の印影97個のほか生地の質などを正倉院宝物と比較し、流出した1点と断定して昨年度に買い取った。修理後に一般公開する。

 同時期の荘園絵図は他には、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)所蔵の「額田(ぬかた)寺伽藍(がらん)並(ならびに)条里図」(国宝)しかない。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805240070.html