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2008年05月24日(土) 10時07分

性的虐待カルト教団から子供400人保護は勇み足?産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】一夫多妻制を唱える米国の教団「末日聖徒イエス・キリスト教会原理派」(FLDS)を性的虐待容疑で捜索し、施設内に居住していた400人以上の未成年者全員について隔離・保護に踏み切ったテキサス州当局に対し、地元裁判所は22日、州の措置を違法とする判断を下した。カルト教団によるスキャンダルとして全米の注目を集めるこの事件は、当局の勇み足だった可能性が強まってきた。
 テキサス州控訴裁判所はこの日、「子供たちが差し迫った危険にさらされているとはいえず、全員隔離という極端な措置は正当化されない」と指摘。当初、保護を認める決定を下した下級裁に対し、10日以内に決定を破棄するよう命じた。テキサス州側はこの決定を不服として23日、州最高裁に上告した。
 今回の事件は4月、思春期の少女に性行為を強要するなどの性的虐待が行われていたとしてテキサス州児童保護局が同州にあるFLDSの教団施設を捜索。施設内で暮らしていた生後6カ月の乳児から17歳の子供までのすべての未成年者が施設から引き離され、州が用意した場所に“保護”された。
 捜索後、当局は「思春期を迎えた少女は中年男性との性交渉を強要されていた」などと発表し、宗教団体を舞台にしたスキャンダルの様相を呈していた。しかし、捜査の端緒となったFLDS内部からの情報提供者は現在も特定できておらず、教団からも「宗教弾圧だ」と強い抗議が起きていた。
 FLDSは末日聖徒イエス・キリスト教会から分派し、指導者には昨年、未成年者に結婚を強要した暴行共謀罪で禁固10年から終身の不定期刑が言い渡された。末日聖徒イエス・キリスト教会は一貫して、FLDSと一切関係がないとの立場を明確にしている。

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